見出し画像

金融個人営業の案件の作り方①

 お世話になっております。仙と申します。金融の個人営業一筋16年。昨年末に15年勤めた都銀を退職し、今は個人会社を設立して財産コンサルティング業を行うと共に、業務委託IFAとして活動しています。
銀行勤務時代~今に至るまで、個人富裕層を顧客として営業しております。
ここでの個人富裕層とは地主、開業医、リテール法人オーナーのことを指します。
相談・提案内容は多岐に渡ります。金融資産運用、生命保険、不動産、事業性融資、非事業性融資、相続・事業承継などなど。自分でできないことは関連会社に連携し…とやっていましたが、上手くいったこともあり上手くいかなかったことはその何倍かあったと思います。
 他の営業と同様に、自行グループの中にお客さまを迎え入れて、全ての取引を自行グループで完結させる。これを最上の形として、実践してきまして、それなりの評価もいただいていましたが、銀行キャリアの終盤ではたと気づきました。

顧客にもステークホルダーがいたことに。

厳密に言うと、ステークホルダーがいることは勿論分かっていました。それまでの私は、顧客のステークホルダーから自行グループへの取引の切り替えを図るものばかりでした。銀行が求めていたことはそういうことだと理解していましたし、世の中的にも「バリューチェーン」などと声高に言われていますよね。

 私が相手をさせていただいていたお客さまは、その地域に土地、本社や事務所、工場など、動かせない資産を持ち、かつその地域の人を相手に商売をしているお客さまが多いです。大企業オーナーの担当者になるチャンスはありましたが、自分じゃなくてもできそうでしたので、希望しませんでした。
・・・ええ。すいません負け惜しみですが何か。
横道に逸れましたが、顧客のステークホルダーもまた、地域共同体の構成員だったりします。ステークホルダーもまた、儲かれば地域で消費をし(必ずしもその土地でお金を使うとは限らないのですが)、それはまた別のステークホルダーの利益になるかもしれません。儲からなければ消費をしない…どころか雇用しているその地域の人を、1人クビにするかもしれません。
ステークホルダーが潤えば、自行と直接取引が無くとも、ステークホルダーと取引している関連会社で案件が成約になるかもしれません。

全ては繋がっています。

まあ、そこまで気にして営業している人は、見た感じ僅かです。そんなことより数字の詰めを逃れたいし、昇進もしたいし、自分に非が及んでこないようにベストは尽くした体にしたい。だいたい皆そうですね。
ですが、皆で同じ飴玉を舐めているわけです。飴玉を独占しようと頑張るよりは、飴玉を大きくするようなことが出来たら、同じ飴玉を舐める全員から感謝されますよね。きっと。

 飴玉がまさにお客さまなわけですが、そうなったらお客さまは経済的利益のみならずプレゼンスも上がって、皆幸せになるわけです。
私は銀行キャリアの終盤でそんなことに気付いたのです。

顧客にもステークホルダーがいることと、ステークホルダーが何の役割を担っているかを理解する

 下図をご覧ください。

顧客にもステークホルダーがいます。上図の線は関係の太さ、円の大きさで影響の大きさを表してみました。関係の太さは一律ではなく、影響の大きさも一律ではありません。上図は一例で、顧客ごとに相関図は変わってくるはずです。
また、ステークホルダーはそれぞれ役割を担っています。

税理士は税務以外に向こう5年くらいの当家のキャッシュフローをしっかり見ているのかもしれませんし、相続税の試算をするなど当家の全容を把握しているかもしれません。
時々不動産の契約関係で頼る弁護士は、実はそんなに関係は深くないのかも。
証券会社は預かりの額は大きくとも信用はしておらず、銀行Aからは大きな金額の借入をしてますが、こと不動産に関しては不動産管理業者の意見を必ず参考にする…とか。
銀行Bは預金は多くあるものの、決済用の流動性預金だけ、とか。
20年来保険営業が来ていて、保険はその人で契約することを決めていたり。

ステークホルダーはそれぞれ役割を担っています(二度目)。

その中で、自分の立ち位置はどれなのか?どのポジションを取りに行くのか(自分が代われるのか)?高齢化や店舗の統廃合などで、どの役割が弱っているのか?あるいは強くなっているのか?
こういったことを分析する必要があります。これは同僚などにも協力してもらって、タウンウォッチや他の顧客、業者からそれとなくステークホルダーの動向を(絶好調なのか絶不調なのか)聞いて把握していくのです。
要するに、弱っているところが顧客が困っているポイントに直結するわけですね。
相続を任せたいのに税理士は自分と同級生なので自分より先に相続が起こるかもしれない、とか。
たくさん借りてるのに銀行が移転してしまって人員も少なくなってしまったがどうしよう?とか。
もっと運用したいけど証券は自分の都合の良い提案しかしないんだよなー…とか。
一番の相談相手は実は保険営業なんだけど、本人はもう引退したがってるとか。
車や絵画や自宅の靴の数やら何やら、目に見えるものからプロファイリングすることも必要でしょうし(私はそんなに気合入れてやってませんが)、一方でお客さまが大事にされてる関係性みたいなのが把握できると、通り易い提案がみえてくるものです。

とりあえず今回はここまでで。
お読みいただき有難うございました。
ご意見、ご感想等いただけましたら嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?