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Sound EditorからみたDSD

最近の私のMAは96KHz、192KHzといったハイサンプリングで行うことが多い。
勿論最終的には48KHzになってしまうことが多いのだが。
中間作業において極力ロスのない方法が良いのでは?といった疑問から試してみているのである。(ある意味、自己満足だけかもしれない)

背景音を録る

可能な限り、作品ごとに背景音を録りに行くようにしている。
一番の狙いは映像とのマッチングだ。
広がりのイメージも勿論だが、特に移動している車、電車などは顕著である。
そういう時の録音ではKORG MR1でのDSD録音。
音が良いことに越したことはない...と思っていた筈だったのだが。

(銀座歩行者天国にて)

録音した波形を見てみると...

でかい。レベルオーバーなのではなくでかい。
一番に考えられることは周波数帯域が広いので広域部分に何かしらがあるのかと。
そこでHCF20KHzをかけてみると...

顕著にわかる。
一番上が何もせずWAV192KHzに変換しただけのもの。次の段が20KHz -6db/oct、次が-12db/oct、-18db/oct、-24db/oct。
ここまでは予想通りだったのだが。

iZotope RX5で見てみたら...

流石というかトップが70KHz以上まで表示している。更に驚いたことは、最もオレンジが濃くなっている音量が大きいところが何故か50KHz以上だということ。
DSD録音では50KHz以上が大きく録音されてしまうのか?それとも機材の故障なのか?
上記のProtools画面のものもiZotopeで表示してみた。

(-6db/oct)

(-12db/oct)

(-18db/oct)

(-24db/oct)

当たり前のように高い周波数は薄れていくのだが。
(HCFはProtools標準のプラグイン)

何故50KHz以上の音が存在しているのか?

人間の耳では聞こえないが存在しているものなのだろうか?
それとも単に故障しているだけなのだろうか?
そこで2台のMR1にてそれぞれチェックしてみたが結果は同様。壊れている可能性は低い。それならば考えられることは...

DSD to WAV 変換時に何かが起きているのか?

使用しているのはKORG推奨の無料アプリ AudioGate。
エキスポート設定を見てみるとDSDフィルターがあるが、通常無しでやっていたが「なだらかな減衰特性」にて試してみた結果、高域が抑えられているこがわかった。

フィルターだから抑えられるのは当然だが疑問は残る。なぜWAV変換後に50KHz以上の音が存在しているかだ。よって別の変換アプリTASCAM Hi-Res Editorを試してみた。
結果。変わらず。断定はできないがアプリによるものとは考えづらそうだ。それならば市販されている音楽音源はどうなのであろうかと試してみたところ。

市販されている音楽音源にも50KHz以上の音が存在しレベルが大きい...。(ほぼ上記のiZotopeのようになる)

Sound Editorからみえるポイント

実はこれに気が付いたのはラウドネスメーターだった。静かなシーンの筈なのにやたらメーターが振っている。原因はこれらの50KHz以上の成分が大きい為だった。勿論、聴感上ではわからない。(第六感上ではわかるのか...?)
一般的にDSDの音楽を楽しんで聴く分には全く問題ないが、放送などラウドネスメーター基準となる場合には大きな問題となる。
それは「192KHzにてミキシングしたものと48KHzに変換したもののラウドネス値が変わってしまう」ことだ。
また編集操作のポイントでも「波形が大きすぎて肝心の音の波形が見えづらい」ことだ。

最後にMR1にてDSDではなく192KHzでの録音したものをiZotopeでみたが50KHz以上の「余計な成分」はいなかった。(なだらかに薄く、つまりレベルが小さくなっていた)

まとめ

・録音時には可能な限り良き状態での収録。よってDSDはありかと思う。
・だが変換が前提となるならばDSDではなく192KHx収録の方が適切なのか?
・DSDフィルターを使用するか、Protoolsインポート後にHCFを使用するか?
・何故DSD録音では50KHz以上の「余計な帯域」の成分がレベルが大きいのか?

疑問はまだまだ残るが引き続き研究課題である。

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