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お世話になった人⑭

さて、話の舞台は、中華料理レストランをやめた後、働く事になったホテルのルームサービスでの話になる。その時、長きに渡ってお世話になった人の話をまたしていきたいと思う。

彼女も同じ配膳会社から来ていた。というか元はと言うと、このホテルに来た経緯は私と同じだった。

彼女との出会いは、私がアルバイトとして働いていた中華料理レストランでの事である。その店も、配膳会社からのヘルプ要員を頼りにしていて、レストランの宴会場フロアには、100名のゲストも入れるくらいの大きな会場もあり、大きめの宴会が開かれるような場合は、配膳人の存在は大きかったのだ。彼女は、私がバイトをしていた店に配膳として来ていたのだった。私が入る前から、いたようである。

私を雇ってくれた総支配人ともよく知った仲で、総支配人の交代があった中で、配膳会社も交代のタイミングで、切られてしまい、新しい支配人と繋がりのある会社が入ることになったという経緯がある。

レストラン時代は、主に彼女は宴会場、私はレストランのホールという事で、お互い顔と名前くらいは知っているが、話すという事までは、あまりしてこなかった。

だが、前の総支配人だった人は、私と同じルームサービスを紹介したようであった。彼女の苗字はなかなかないよう苗字で、そこのホテルの配膳の責任者の人から、「〇〇さんも来るから」と言われたが、違う読み方で言われたので、この時は、誰のことかさっぱり分からなかった。

だが、彼女が現れると、なるほどと納得するのだった。
入った当初は、私は夜勤、彼女はディナータイム要員で、シフトで言うと、14時〜22時か15時半〜23時半のどちらかのシフトに入っていて、18時から入る私と被っていて、暇な時は、ナプキン折りやグラス磨きなどをしながら、⑬の先輩とともによく話すようになっていった。

彼女は私より2つ年上で、おなじくルームサービスの早番に同い年の同じ経緯で入った女の人がいたので、彼女も一人という訳ではないのだった。

私は、このホテルに4年もの間、お世話になったが、彼女は私よりも早く辞めていったのだった。その理由は、中華レストランで起こった事と同じで、人件費削減という名目ではあったものの、「派遣切り」である。

夜勤もそれまでは、5人くらいはいたところ、社員と配膳1人ずつの2人体制になったり、ディナータイムも8時間勤務が4時間に減らされるなどの措置を取る事になったのだった。

そんな時、ディナータイムの配膳枠は、4人くらいで回していたが、4人でその4時間を取り合うより、人が少ない方がいいだろうと読んだ彼女は、自分から身を引いたのだと、⑬の先輩から聞かされたのだった。

夜勤が減らされて、私も夜勤かディナータイムか、ある時はモーニングもやるようになって、生活リズムの乱れもあり、精神的な疲れなどもあり、段々と体調が優れなくなっていくのだった。

彼女とは、同じシフトに入っていたということもあって、電話番号を交換して、急なシフト変更などにも対応できるようにしていて、その中でたまには、電話で話す仲にもなっていたのだった。

彼女が、辞めてから、約1年後くらいに私は、精神的にボロボロになってしまい、逃げるようにやめていったので、職場の人とは、ほぼ連絡を絶ってしまった。彼女とも同じで、その後、何年か経ってから、スマートフォンを持つようになると、知り合いかもというところから、彼女とおぼしき、名前が出てきて、懐かしいと思い、メッセージを送ってみたが、既読になることはなく、そのまま現在に至っている。

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