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母の思い出をたどって

以前から、母に彦根に連れて行ってほしいといわれていた。
彦根は、母が若かりし頃、過ごした場所。父と結婚するまで暮らしていた土地だ。

先月の半ば、父が亡くなってから10年目の命日。
命日当日は、平日だったため、週末に家族で集まって食事をした。
その席で、以前から話にあがっていたものの延び延びになっていた彦根行きの話になった。善は急げとばかり、その場で日程を決める。
その場にはいなかった姪っ子と甥っ子にも声をかけ、総勢6人での彦根行きとなった。

母もそれなりの年になり、今も元気で一人暮らしをしてくれているものの、遠くに出かけるのは億劫らしく、旅行などに声をかけてみても色よい返事をもらえない。それが、青春時代を過ごした彦根のことになると目を輝かせ、「行きたい!連れて行って!」となるのだから、人のモチベーションって大事。その意は汲んであげたい。

とはいうものの、当時母が勤めていた会社はもう無く、当然暮らしていた会社の寮ももうない。それでも、その近辺には行ってみたいだろうと思い、「場所わかる?」と聞くと、「わかるよ」と住所の番地まで正確に即答した。

今回、まずったなと思ったのは、絶賛梅雨の最中だった件。
皆さん、ごめんなさい。

行先は、母の希望を最優先だったので、行先はシブい選択になったかも。

まずは「一度は行った方がいいよ」とおすすめされたいたという竹生島。
竹生島には長浜港や今津港からも船が出ていますが、行程の都合上、今回は彦根港から乗船しました。

戦国武将を思わせるシブい船

私以外のメンバーは、竹生島初上陸。船に乗るだけで観光気分は上がります。今はこんな船ですが、平安の時代から琵琶湖の上を都人が行き来していたのに思いをはせると心が躍ります。(ウキウキしていたのは私ぐらいだったみたいだけど)

古くから神様が棲む島として信仰の対象だった竹生島。上陸して、たくさんの石段を頑張ってのぼったら宝厳寺に着きます。ご本尊様は大弁才天様。芸事や才能開花の神様です。江ノ島や宮島と並ぶ「日本三弁財天」のひとつです。ちなみに私は、すべての弁財天様にお詣りしています。

雨の季節だからこその美しい光景も。島のあちらこちらで紫陽花が咲いていました。

そして、国宝でもある都久夫須麻(竹生島)神社。豊臣秀吉が寄進した伏見桃山城から移転したもの。いやもう、こういうの造るのもすごいけれど、移築するのもすごい。
ちょうど夏越の祓だったこともあり、茅の輪が設置されていました。思い立っての旅でしたが、下半期にむけてちょうど良いタイミングでした。

平家物語にも出てくる拝殿からは、かわらけ投げもできます。戦国時代、武将が必勝を祈願して土器の酒杯(盃)を地面に投げつけて出陣したことに倣って、厄除けのためなどにやります。2枚の盃にそれぞれ名前と願い事を書いて投げ、鳥居の間をくぐり抜けたら願いが叶うそうです。姪っ子と甥っ子も挑戦しましたが、なかなか難しい・・・。

島を一周してくると、程よく小腹もすいてきて、おやつタイム。
姪っ子と甥っ子は、売店で買った近江牛の肉まんが美味しかったみたい!

島から戻ってきてからは、本格的に腹ごしらえ。評判のいいお蕎麦屋さんを夫が探してくれていました。

私は、この日までの期間限定の復刻版メニューらしい、ごぼうのかき揚げがのったお蕎麦にしました。見よ、この大きさ!

別に出してくださった蕎麦湯がとても美味しかった!

お腹を満たし、次に向かったのは国宝・彦根城。
けれど、ここでリサーチ不足が発覚。なんと天守閣が耐震工事中のため見られないのだそう。少し迷いましたが、雨も降っていたため今回は断念することにしました。

彦根城は私が結婚する前に、母とふたり旅で来たことがあります。あの時も母に「どこ行きたい?」と聞いたら「彦根」と答えたのでしたっけ。母の成人式の日も、晴れ着をきて皆で彦根城に来たそうで、懐かしそうにその時の話をしてくれました。

さて、予定を変更してどこへ行こう?となったときに候補に挙がったのが、以前、私の誕生日旅行で来たことのあるマキノ高原のメタセコイアの並木道。

雨降りだったせいか、あまり人影も車もなく、写真を撮ることができました。以前来たときは雪景色だったので、また違う景色をみることができました。

寒くてもジェラートは別腹?マキノ茶と地元の栗のお味をセレクト。ほどよい時間になったので、琵琶湖の西側を通りながら帰路につきました。結果的に琵琶湖一周旅行になりました。

ずっと車での移動でしたが、道中母からはいろんな話が飛び出し、やはり彦根には母の思い出があちらこちらに散らばっているようで、孫たちと来ることができて母は本当に嬉しそうでした。少しは親孝行になったでしょうか。

私自身もいつも仕事で来るのとは違った角度で、彦根のまちを楽しむことができました。またプライベートでも来てみたいです。



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