アリー404 ⑷ 404ジャーナル
毎月このアリー404の住人の元に届くフリーペーパー『404ジャーナル』。
この路地裏の情報屋が発行している。
今日の一面に、久々のニュースが載っていた。
ここはアリー404。
人に会うことは少ないが、住人は少なからずいる。
ただ、出会うためにちょっとコツが必要なだけだ。
新たな住人が来たニュースや気になることはメモを残しておく。
このジャーナルは受け取ってから数時間後にはどこかへ消えてしまうという、不思議な素材でできているからだ。
僕が来た2年前にも、『気分屋完成!』などと書かれたジャーナルが届いて歓喜した。
記念にと思い、ファイルに入れてみたがやはり数時間後には消えて、どこを探しても見つからなかった。
そう、僕のホームは気分屋だ。
「うっかり屋かぁ…」
僕たちは同じ路地裏にいてもなかなか出会えない。
しかし、新しい住人が来た時はこのようにジャーナルに載るのでヒントにはなる。
うっかり屋に行くだけなら、おそらく行ける。
会えるかどうかは、タイミング次第だ。
僕は気分屋だ。
いまだに会えないシッカリ屋よりは、うっかり屋の方が会えそうな気がした。
次の記事にも目をやる。
この辺は、noteの世界では特殊地帯にあたるらしく、普通の人は侵入できない路地裏がポツリポツリと点在している。
このアリー404もその一つだ。
『探している人には見つけられない路地裏』
であるということをノンカラさんが証明し、アリー404と名付けたらしい。
ノンカラさんの正体は不明だが、いろいろとケンサクをするのが仕事だそうだ。
こういう、ノンカラさんのケンサクの結果もたまにチェックしておくことはここに住む上では大事なことだ。
隣にはアリー403という路地裏があるらしいが、普通の人には見ることはできない。
これについてもノンカラさんがケンサクしてわかったことだ。
この路地裏の一番高い塔から見るといつも霧がかかっている場所が403だ。
また、アリー405は隣合う路地裏ではあるが、なかなか行きにくく、正規なルートを正確に選ばないと入れないそうだ。
たまに、やっと405に行けたはずなのに気がついたらここにいた、と言う人が紛れ込むのはどこかで道を間違えたためだろう。
こちらはミニコーナーだ。
アリー404の話題ではなく、noteの世界の旬なニュースが載っている。
余談だが、タイトルのセンスから察するに、情報屋は僕より2回りほど年上か、レトロとか昔のものに憧れを持つ人ではないかと思っている。
しかし路地裏が流行中、とか『なんのはなしですか』とは、それこそいったいなんのはなしですか、だ。
あとで僕もケンサクしてみよう。
ちなみに僕が来る少し前にできた404美術館は今でも愛好家の間では人気らしく、訪問者は多い。
とても近代的だが、荘厳さも兼ね備えた大きな美術館だ。
まるで近未来の宮殿か寺院のようでもあり、派手さはないが、一目見ただけで特別な何かであることがわかる。
この路地裏のシンボルと言ってもいいかもしれない。
僕もたまに見に行くが、たいていの訪問者は美術館から外には出てこない。
だからおそらく彼らはあの美術館がこんな路地裏に建っていることを知らないだろう。
あの美しい外観を知らないままなのは気の毒だと思った写真屋が、404美術館の外観を撮影したものも実はこっそり展示されている。
ただ、情報屋によるとそれらが閲覧された記録は今のところないらしい。
アリー404にスタジオを構えた写真屋らしい話だなと僕は思う。
ジャーナルを読み終えた僕は、
うっかり屋
アトイ・ポンカルシ
『なんのはなしですか』
と、ノートに書き込んだ。
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