5/14の日記

十条駅南口から出て線路沿いにしばらく歩く。途中で細い横道に入っていくと、周囲を住宅で囲まれた駐輪場があるのを発見した。どこかのお家のものというわけではなさそうで、ツルッとしたコンクリートの建物の窓からおっさんが顔を出し、こちらを見ながら煙草を吸っている。横にはオンボロなアパート。階段はすっかり錆びついて朽ち果てて、人が住んでいる気配は感じられなかった。この街にこういう場所があるのを全然知らなかった。

駐輪場を出ようと振り返った。ちょうど見えたのは、線路沿いの道を小学校低学年くらいの男の子が真っ青な自転車に乗って駆けていく一瞬だ。「今日の残りはもしかしたら青の日になるかもしれない」と感じた。これは本当にそうなって、実際その後八百屋付近で真っ青な服を着た妊婦さんを見た。たしか他にももう一つくらい真っ青なものを見たと思う。

商店街は人通りが多いので、路地を歩いて帰宅する。この場合、一度も入ったことがないけど多分炒め物が美味しいと予想される小汚い中華料理屋となんとなく怪しいと感じるアジア食材専門物産店のひしめく狭い道を途中に通らないといけない。今日は珍しく、この小路で子供が遊んでいた。こんがり焼けた少年がぶんぶんとバットを振り回す。女の子がくねくねと兎みたいに踊り跳ねる。性別もわからないくらい小さなベイビーが全身をぶりぶりと駆使して蛇行歩行する。彼らはいつもの仲良しなのか偶然の組み合わせなのかわからなかったけれど、なんというか共鳴しあっているようにも見えて面白い。ジャズの火花を散らすセッション風景的な。つまり、空間が充実していた。

明け方前、相変わらず寝ずに起きていた。ラジオを聞いていた。ラジオの向こうの人達が用意してきた雰囲気に珍しく違和感を覚えて、それは番組終了まで続いた。あの違和感はなんだったのか。まあ、換言すれば「ノレなかった」ということになる。きっと今の自分は笑いたくも感動したくもないんだろう。

合間に流れていた他番組の宣伝CMが変に印象に残っていた。「日本中、いや世界中の最新エンタメが集まるドリームエンタメラジオ」を謳い、最後に「我エンタメ、ゆえに我あり!」と叫ぶパーソナリティー。エンタメという言葉に今は若干辟易とする。もはや響きが若干禍々しい。

また明日。

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