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良いものについての覚え書き

自分の好きなものを他人に対してプレゼンできる人っている。あれが私は非常に苦手。「あのー、えーと、なんていったらわかるだろう、良いじゃないですか、ねえ」とかなんとか、あの時間のバツの悪さったらない。そんなだから、もう自分の好き嫌いについて語るのは辞めようと、いつ頃からか「趣味」について開陳することを避けるようになった。だけど、それはそれで不都合なことが起こるもので、社会性ばかり増していって、自分の好きが何だったのか、段々忘れていってしまう。海岸で拾った綺麗な石を大切にしまいこんで放っておいたら、逆にどこにいったかわからなくなっちゃう、的な。だから書いておこうと思う。以下は私が「良いな」と思ったもの、思っているものの覚え書きです。メモとして。記憶が蘇ったり発見があったら追加していきます。

・曽祖母が亡くなった時、眠っているような死に顔だったけど、火葬炉で焼却したら一瞬でカスカスの骨になったこと

・祖母が亡くなる時、タクシーを走らせて病院に向かう坂を上っていたら夕焼けがめちゃくちゃ赤いように見えたこと

・ライオンキングを観に行った帰り、近藤の腹をつついていじっていたら、突然土を食いだして「お前ら許さないからな~」と笑顔ですごみ、歯の間から土がニチニチとはみ出していたこと

・普通に会話をしていても、地震が来ると問答無用で話が中断されて「……揺れてる?」と確認しあうこと

・高齢の声優が亡くなる間際に一気に声量が衰えて、従来とは全く別物になってしまうこと

・伯父に人生相談をしたら「なんとかならないときはなんとかならないでなんとかなる」と、深そうな深くなさそうなでもやっぱり深そうな言葉をかけてもらったこと

・ウケとか整合性とかを意識しすぎておらず、「だからなんだよ」と言いたくなるような不毛な話

・大きい一軒家で飲み会をした時に、あちこちで小さいグループができていて、それぞれ盛り上がったり、口説いていたり、湯船で溺れて死にかけていたりしていた状況

・周囲は盛り上がっているけど自分はそこまで……と温度差を感じているときのヒリヒリ感

・「これにはこういう工夫がなされています」という解説

・起伏のない話し方、棒読み

・編集がなされていない垂れ流し系の動画

・極端に明るくてポップな平成のCM
例)木村拓哉のJRAのCM、松浦亜弥のティセラのCM

・本質的な部分に破綻があるのに指摘がなされていない状態
例)王様が裸なのにみんな何も言わず式典が粛々とおこなわれる。

・同じものを見ていても全く違う感想

・デフォルメされたキャラクターが色々な表情をする
例)「彼氏彼女の事情」のOP

・等間隔でアイテムが敷き詰められている
例)マリリン・モンローの写真が並べられている絵

・前提となる感覚や情報が共有されておらず「お前の中ではそうなんだな、おれは知らねえけど」となる話

・黄緑色

・詩的な言葉の羅列(詩的な文章、ではない)

・やる気のないダンス

・追悼文、弔辞

・彼女とLINEでやりとりしていて、向こうの話題が物凄いテンポでぱっぱっと切り替わるやつ

・実際の性事情は匂わせない、ファンタジーな下ネタ

・何も本当のことが含まれていない、ウソの難癖

・知らない駅で降りて、薄暗くてそこまで盛り上がっていない商店街を歩く

・リビングにて、明かりを暗くして、テレビに直にヘッドホンをつけて、往年の名作深夜アニメを見る

・一度SNSに投稿した文章について、編集可能なら定期的に見直して微修正を加え続ける

・葬式で、二階では親戚一同が寿司をつまみながら故人の昔話をしており、一階では静寂の中に棺が置かれている状況

・高校の文化祭前、各クラスが準備に右往左往しているのを廊下から覗きながら、校舎中をフラフラする

・自分もしくは他人に対して、「成長したな」「正しい方向に進んでいるな」と思えること

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