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20-21 SSCナポリ主観レビュー

お久しぶりです。あっつベルです。欧州各国で20-21シーズンが終わりを迎えましたね。ということで主観レビュー第2弾として我らがナポリの今シーズンを振り返っていきたいと思います。今回も最後までお付き合いください。

今シーズンの成績

はじめに今シーズンの成績について数字で振り返っていきましょう。

まずはセリエA、38節を戦い抜いて24勝5分9敗で勝ち点77、CL圏内に惜しくも届かず5位でフィニッシュしました。最終節までもつれ込んだCL権争いの話はこの後お話していきます。

ここで話しておきたいのが今シーズンの欧州各リーグのCL権争いの勝ち点について。Excelでまとめたこちらのスクショをご覧下さい。

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EL圏内の勝ち点平均でセリエAは群を抜いて高いです。単純な比較は出来ませんが、かなりハイレベルな争いであったことはわかると思います。

続いてゴール関連。得点数はリーグ3位の86で、1試合あたりのシュート数はリーグトップの17です。今季のナポリは積極的にゴールに攻める攻撃的なチームだったと言えます。また、試合あたりの枠内シュート数もアタランタに次ぐリーグ2位の5.9。しっかりゴールを捉えていますね。得点関連で興味深い数字はミドルシュートの数。ボックスの外からのシュートは試合あたり6.7で、2位のサッスオーロとは0.8も離れています。遠くからもお構い無しでゴールに迫る非常に恐ろしいチームだったと言えそうです。

一方守備的なスタッツです。知ってんはミランと並びリーグ3位の41。まずまずだったと言えますね。しかし、試合あたりのインターセプト数が9.7とリーグ最少、シュートストップ数もリーグで下から2番目の2.2です。タックル数やパスカット数では決して悪い数字を出ていないだけにこのふたつが低いのは気がかりですね。

シーズン振り返り(戦術編)

数字で振り返ってみたところで、私の記事を見に来てくれてる方の多くは「いや、戦術的な部分からシーズンレビューしてよ」と思っていると思います。というかそれが本編ですしね笑  ということでここからはシーズンレビュー戦術編をやっていきます。

今シーズン、ガットゥーゾ率いるナポリは攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2をベースに戦ってきました。シーズン序盤などでは4-3-3であったりELグラナダ戦など負傷者で上手く回せない時には3バックも試すなど他のシステムも使っていましたがほとんどが4-2-3-1でした。

このシステムの採用理由は大きくふたつあると思っています。ひとつはオシムヘンとメルテンスの同時起用、もうひとつは守備の安定です。

ひとつめからお話していきます。ダイアゴナルランや偽9番などのデコイの動きの上手いメルテンスをトップ下に、身長も高くアジリティに優れたオシムヘンをFWに置くことでお互い補完しあいながら攻撃しようというのがガットゥーゾの狙いだった思います。事実2人が同時に使われている時にはオシムヘンの落としからメルテンスが抜け出したり、メルテンスの外へのダイアゴナルランに合わせてオシムヘンが中央に入ってきたりと上手く噛み合っていました。

ふたつめの守備についてです。昨シーズンのナポリは攻撃時4-3-3、守備時4-1-4-1をベースにしていました。その際によく使われていたのがアンカーの1であるデンメやロボツカの両脇のスペースです。バイタルの嫌なスペースを使われることを避けるために4-4-2でブロックを敷いた守備に切りかえたのだと思います。

次に人選について。GKは足元の技術に優れたオスピナがファーストチョイスになることが多かったですね。中盤戦のプロビンチャに連敗してた時期はオスピナのロングフィードも精彩を欠いていましたが、ショートパスでのビルドアップではメレトを寄せ付けない技術を見せていました。

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最終ラインでは全体のレベルの高いクリバリとフィジカルに優れ守備の強いマノラスの2人がCBのファーストチョイスでした。マノラスは怪我がちだったり足元の技術に不安が残りますが、この2人は安定だったと思います。そこに長短のパスと空中戦が自慢のマクシモヴィッチが3番手にいましたが、そこに割って入ったのがラフマニです。デビュー戦での大ポカこそありましたが、責任感あるプレーと驚異的な対人能力、申し分ないビルドアップで離脱者の多かった今シーズンローテーションプレイヤーとして安定して乗りきったのは流石の一言です。(もちろんユニ買いました)RBには攻守に能力が高く90分ハードに走れる"鉄人"ディロレンツォが圧巻の36試合3240分出場、LBには守備的なヒサイと攻撃的なルイを使い分けていました。グラムが怪我さえしなければ正確な左足と守備能力で圧倒的にファーストチョイスだったと思いますが、再び怪我に泣かされています。シーズン終盤になればなるほどヒサイがファーストチョイスとなることが多かったですが、私はビルドアップの起点を右に移した事が大きな要因だと思っています。昨シーズンまでインシーニェとマリオルイ、IHの3人で組み立てていた攻撃が今シーズンは右で行われることが増えたので左にはバランスをとって守備をできるヒサイを置いたのかなぁと思っています。この辺もこの章の後半でまた。

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3列目の2セントラルでは守備的なバカヨコとデンメが左側を分け合い、右にはプレーメイカーのファビアンが入る事がほとんどでした。デンメにはアンカーの頃からあるビルドアップ補助の能力と広い範囲をカバーする無尽蔵のスタミナ、バカヨコにはビルドアップに絡まない分守備の際のフィルターとしてのタスクが課されていたと思います。ファビアンはプレーメイカーとして昨季よりも低い位置で組み立てに絡み、相手が引いて崩せなければ前に出てここぞのミドルを美しく決めてくれました。ロボツカには過密日程となるEL時のターンオーバーとしてしか出番がなく、セリエAの出場時間もプリマメンバーと冬に出ていった選手を除けば最少の141分。来季が心配です。

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そして2列目、中央にはジエリンスキが入り、左はキャプテンマークも巻くインシーニェが不動のレギュラー、右はロサーノとポリターノが分け合っていました。システムの話をした時に中央はメルテンスというお話をしていたのでなんでジエリンスキ?となりますが、メルテンスの負傷離脱後ベンチスタートの多かったジエリンスキがこの位置で覚醒しました。攻撃的なセンスに優れながら万能型MFであったジエリンスキはこの位置で留まってボールを捌くこともあれば左右に流れて崩しをサポートし、ゴールも決めアシストも決め守備でも献身的に走り今季のナポリの攻撃を支えた超キーパーソンになりました。キャリアハイとなる8G10Aが表している通り、今季の彼はひと味もふた味も違いました。

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FWはスピードがありダイナミックに裏へ走れるオシムヘンがファーストチョイス、メルテンスとペターニャというタイプの違うFWが控えにいました。線は細いですがGKからのロングボールを相手を背負って落とすことも出来るオシムヘンは怪我とコロナを乗り越え16試合10Gの大健闘、万全でシーズン開幕から戦うのが楽しみです。メルテンスは言わずもがな、両名が怪我している時のペターニャの奮闘も忘れてはいけません。スピードがない分フィジカルに長け、相手を背負ってどっしりとボールをキープしたり、左右に流れて細かいボールタッチでドリブルすることも出来るのでタメを作る点では3人の中で1番だったと思います。

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触れられなかった選手でいえば筆頭はエルマスでしょう。2セントラルの一角や2列目の中央、時にはCFとしても起用されるユーティリティ性で人の少ない時期を助けてくれました。早く定位置が欲しいところですが焦らず頑張って欲しいです。またチョッフィを始めとしたプリマヴェーラの選手たちもトップチームの人手不足で大変な時期に掛け持ちして帯同してくれて非常に助かったと思います。いつの日かトップで見れる日を楽しみにしています。

プリマ

選手紹介も終わったところで今季の戦い方をボール保持、ボール非保持とトランジションにわけて説明していこうと思います。かなり長くなっているのでここら辺で一休みして、次に移ってくださいね。

ということで戦術に移ります。今季のコンセプトは「一方的に殴りまくる」です。物騒ですね。

今季のナポリは前述したように圧倒的な得点力を持ちます。同時に高いポゼッション率とパス数を誇るので、自分たちがボールを持つことで試合を進めるのが今季のナポリでした。しかも仮に相手に持たれたとしても縦に速くボールをオシムヘンにつけることで疑似カウンターを発動させて簡単に点が取れるようになったのも今季の成長のひとつです。

ボール保持では2CB+2セントラルのボール回しから高い位置に進出したSBとWGの縦への簡単な崩しが主軸でした。ここでポイントになるのが前述した右サイド。今までは左で展開することが多かったですが、今季はディロレンツォの内外の走り分けやファビアンが低い位置で組み立てに参加するようになったことなどで右からの崩しのシーンが増えました。その結果LBには攻撃参加よりも後ろに残って3バック化するタスクの方が重要視されたため、ヒサイの起用が増えたのだと思います。

ボール非保持では今までよりもアグレッシブにボールを奪いに行く場面が増えたように感じました。3バックでボールを回す相手には2トップとSHが前から嵌め、簡単に蹴り出したところっを空中戦に強い最終ラインが跳ね返しボール奪取を狙うことも多かったです。一方で押し込まれたときにはしっかり引いてブロックを作る守備も健在で、第22節のユベントス戦では支配率37%でシュートを24本も打たれましたがしっかりと守り切っています。

トランジションではネガティブ、ポジティブ問わずアグレッシブに前に出ることが原則にあったと思います。奪われたら前からプレスをかけて即時奪回を狙い、奪ったらシンプルに広いスペースに展開し攻撃を開始します。

最後に今季残った課題について。まずは肝心なところでの取りこぼしでしょう。最終節エラス戦や第25節サッスオーロ戦など挙げればキリがないですが、点を取り切れない/守り切れない試合がかなり多かったと思います。サポーターのSNSでもあの試合の勝ち点があれば…とよく言われている部分です。ここは戦術どうこうではなくチームのメンタリティの問題だと思います。

次がSH-CH-SBの間の守備です。終盤戦こそ上位がいなく隠れてはいましたが、守備において明確な弱点はここのスペースになります。前から取りに行こうとする前線とついていけない最終ラインのギャップであったり、大きい選手が少ないのでファーに送り込まれるクロスであったりとここを突かれて失点するシーンも多かったと思います。来季はここのギャップをどう埋めるのかがひとつのテーマになるでしょう。

最後に監督の修正力です。11節サンプドリア戦では後半の2枚替えが当たり逆転勝利を収めていますが、それ以外の試合では効果的な交代があまり行われていませんでした。もちろん離脱者の多さでやりくりできる環境になかった時期もありましたが、それでも修正という部分ではガットゥーゾは監督としてまだまだだったと言わざるを得ません。

終わりに

まだまだ書きたいことはありますが、これ以上書いても長くなるだけで読む意欲がなくなると思うのでここら辺でレビューは終わりたいと思います。来季のメルカート楽しみですね。誰が来て誰が去るのか見守っていきたいと思います。

今回も最後までありがとうございました。またリクエスト頂いたらそれについてだらだら書いていこうと思います。

では今回の記事はここまで。また次の記事でお会いしましょう。それでは。

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