出会ったその日に告白した話、

私は去年8月まで大恋愛をしていた。
あんなに自分のことを差し置いて相手になりたかった恋愛はない。
そんな人に2度と会えないと思っていたし、実際にどんな人と出会っても私の感情が揺れることはなかった。


その頃の私といえば、マッチングアプリで気の合った人と会って食事をして話をする。どんな人といても大抵楽しかった。何回も遊びに行く相手もいた。告白されることもあったが、私に気持ちがないので、その都度そこで関係は終わっていった。誰といても楽しいのだ。本当に。

9月、その人と出会う時も特別に何かを期待していなかった。アプリにもちゃんと顔を載せていたわけではないし。


駅で待ち合わせて、少し離れたところから会釈された。あーとても猫背が似合う人だなと思った。

彼といると、楽しかった。それはみんなと一緒。だけど、彼の言葉をもっと聞きたいと思ったし、私が話す内容にどう答えるんだろうってすごく興味があった。

居酒屋を出てそろそろ終電の時間になりそうな時、じゃあ帰りましょうかってなる空気。

「今年って花火しましたか??してないなら花火一緒にしたいです。」


私が言った、それから公園で花火をして何時間も話をした。
朝日が出る前の少し朝が来そうな空の時、帰りましょうかと彼が言うから、てっきり駅に送ってくれるのかと思った。
彼の横をついて歩いて行ったら、猫背が似合う彼にぴったりの秘密基地みたいな家に着いた。その家で、横並びでソファーに座っていろんな話をした。

彼の何もかもに興味があった。31歳の彼が、全部自分にぴったりなことをわかってるとても魅力的な人間に見えた。
私が悩んでる自分の進路について相談してみても、絶対にやったことないだろうなって思うような下手くそな野球の素振りをしながらアドバイスをしてくれた。なんかそれがすごくすごく魅力的だった。カッコつけることを恥ずかしがってるのさえ見逃したくない瞬間にみえた。


ずーっといろんな話をした、過去の恋愛の話、どんなふうに生きていたかの話、どの話ももう全部ぜーんぶ好きだった。



「私、あなたのことが好きなんです。私のことを好きになってくれませんか??私は、誰といても楽しいと感じます。だけどあなたの言葉をもっと聞きたいし、あなたの感性にもっと触れたいと思いました。私の好きはこれで、誰にでも思う感情じゃないんです。」


それは、僕が君と同じ感情になるということを望んでる?

「ううん、いつかあなたが私のことを好きだと思ってもらえたらいいなって思って、どうしても言いたくなっちゃいました。」

マッチングアプリで出会った人に速攻恋する日なんてこないだろうと思っていたし、そもそも、あの彼以外に感情を揺さぶるような人に出会えるとは考えてなかった。


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