Mリーグ2020レギュラーシーズン第6週

冬の寒さの訪れとコロナ不況による追い打ちから、大企業が早期退職制度を数百名単位で募集しており、経済的にも非常に寒い時代の訪れを感じた1週間。そんな中Mリーグ2020だけは、社会の暗いニュースを吹き飛ばすような熱い試合が展開されて欲しいと思います。

1.今週のMVP

藤崎智選手(KONAMI)

2020/11/09(月) 第2試合

近藤(セガサミー)/藤崎(KONAMI)/石橋(パイレーツ)/黒沢(雷電)

初トップを獲れていない、藤崎選手と石橋選手がどれだけトップを目指すか、そして調子が良くない近藤選手、黒沢選手がどのように上げていくかが注目されました。

東場3局1本場まで、石橋選手が細かな上りと聴牌料により37800とリードを取る。東場3局2本場、石橋選手がリーチした4巡後の海底で忍者がダマで海底ツモチートイツドラドラ赤の跳満を上り切る。

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南1局親番近藤選手。藤崎選手が6巡目に高め三色のリーピン三色でリーチをする。近藤選手も三色絡みの1シャンテンまで追い詰めていたが、筋の1ソウを掴み、そのまま放銃となり、満貫を献上する。

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更に終局までに、石橋選手から満貫を出あがったり自摸上がり気が付けば、58900点まで加点して、嬉しい初トップとなった。

南場3局2本場に石橋選手の親リーチの中、満貫のダマ聴牌をカウンターした直後。忍者が大きな呼吸をし、この試合を制した安堵に一息ついた瞬間。

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この試合は、近藤選手と黒沢選手が不調で内容が酷かった。普段通り打てば、熱い好カードの試合が、何故か試合内容としては悪かった。そんな状況下においても、忍者は1人冷静に良い内容を展開し、堂々の初トップとなった。

2人目は、勝又健志(風林火山) 

2020/11/10(火)第一試合

勝又(風林火山)/村上(ドリブンズ)/堀(サクラナイツ)/多井(Abemas)

経験及び実績ともにある好敵手4選手が揃う。この重量カードは、第6週目にして初めてだろう。トップ率80%を誇る絶好調村上選手を他の選手がどのように倒すのかが注目された試合。東1局より勝又選手が大物手を上がる。

僅か3巡で中ポン、西ポン、南ポンをし、他選手にプレッシャーをかける。この時に多井選手は1巡も自模らせてもらえずに、1巡目を自模った時には既に守備をせざるを得ない状況になる珍しい局面でした。

その後筒子のホンイツを目指す過程で、ドラ8ピン単騎を9ピンに変化させ、更には、南を加槓すると南4枚がモロ乗りする。この時点で他選手からは、最低打点が中ホンイツドラ4の跳満であり、何か1つ手役を追加すると24000の親倍となる。

村上選手も道中、役無し236ソウ待ちの3面待ちを聴牌したが、四喜和や字一色の可能性を否定できない「東」「北」や三元牌の所存が確定していないため、途中まで出あがりができないダマ聴牌を維持する。

受けに回った3選手の必死の守備の中、ど高めの赤5ピンを自模り上がり、親倍24000点を加点する。

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後は、名探偵勝又選手が、他選手の攻撃に対して冷静な守備を魅せ、大量得点の優位性をそのまま終局まで維持した。嬉しい初トップ。

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3人目は、白鳥翔選手(Abemas)

2020/11/10(火) 第2試合

堀(サクラナイツ)/白鳥(Abemas)/滝沢(風林火山)/鈴木たろう(ドリブンズ)

このカードは非常に面白く。今絶好調な滝沢、鈴木の両選手に比較的調子が良好な堀選手に対して、初トップが取れずに少し調子が悪い白鳥選手という構図の中、白鳥選手が初トップをもぎ取れるかが注目された。

南1局1本場まで、堀選手の3900点が最大であり、後は聴牌料や細かい上りが少しあるだけの完全な小場が続く。

南1局2本場に白鳥選手が満貫を上がるとオーラスまで細かい上りを継続して、僅差ながらトップを迎える。

南4局10巡目。先に親の鈴木選手が、白ドラの3900の8ピンの仮聴牌を取る。同巡白鳥選手が14ソウ聴牌する。この次巡に鈴木選手が8ピンから南単騎に変化させてリーチをする。リーチと符はねによりリーチ白ドラの出上がり打点9600点となる。

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白鳥選手が鈴木選手に通っていない5萬をプッシュした直後、鈴木選手が4ソウを掴み放銃となる。

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鈴木選手のラス親で点棒差が13900点差しかない状況下で、鈴木選手の親リーチに対して、無筋の5萬は大変勇気の要る打牌だったと思う。鈴木選手の打点が高そうな上に、打ちどころ悪いと18000と言われて3位まで転げ落ちるリスクもあった。そんな中勝負所で押し切った白鳥選手の立派な初トップでした。

2.今週のMVP候補

・瀬戸熊直樹選手(雷電)・・好調維持。強キャラ化確定。

・村上淳選手(ドリブンズ)・・好調維持。攻守のバランスがとても良い。

・園田賢選手(ドリブンズ)・・試合内容が良い。園田監督による「フリテン家族」はMリーグ内で過去最高傑作の作品です。主演男優賞:萩原聖人 助演男優賞:土田浩翔、日吉 辰哉。麻雀プロの対局で爆笑をかっさらう対局は初めてでした。いい意味で面白かった。

・小林剛選手(パイレーツ)・・試合内容が良い。3,4着を取るイメージが全く湧かない。

・和久津晶選手(セガサミー)/瑞原 明奈選手(パイレーツ)・・祝初トップ

3.今週の試合状況

今週は、個人成績上位選手以外が集中力に欠けた凡試合が多かったと思う。理由は明確で以下だと思う。

1.スポンサー企業セガサミーの業績

2.コロナ再燃による緊張感(経済的、病理的)

3.明確な実力格差

スポンサー企業に近い立場で団体を取り纏める立場の人達(主に理事)が、精神的に落ち込んでいる。但し、そのような状況だからこそ、例えMリーグの存続が危ぶまれたとしても、精神と体調を高めて、プロ雀士は1局1局真剣に対局して欲しい。

そして多くの選手が初トップを獲っている中、団体のそれぞれのラインで無理して不調な選手や元々実力差がある選手を立てようとするから、それが、大変いびつな試合形成をしている。結果、内容がとても悪い試合が増えました。

そもそも、2~3年間という期間で男性トッププロと真剣勝負がいつまで経てもできない選手(男女問わず)を無理に引き立てる行為は、Mリーグのブランドを引き下げている。

酷な事を言うと無理やり引きたてるぐらいであれば、男女共に各団体の成長が見込める20代の若手をMリーガーにした方が良い。

各団体の思惑が乱れ飛ぶ中で、各団体のライン麻雀になり易い状況下で、純粋に麻雀の成績を追い求め、良い内容の麻雀を打つ村上淳選手、佐々木寿人選手、小林剛選手が余計に立派に見えてしまう。

・・・

また、解説の渋川プロや各選手の解説時に、試合内容の悪い内容を無理やりフォローするとなんか余計に試合が学芸会感が漂います。

土田プロ、日吉プロ、小林未沙さんのように自分の価値感と照らし合わせて、善悪を率直に語ってくれる方が盛り上がるし、プロだなと思う。特に園田監督の「フリテン家族」の土田プロ、日吉プロの名解説は、試合を大いに盛り上げた。

4.その他

・初トップを獲りたい選手を応援しよう。石橋/萩原 の2名

【今週のこの1枚】

オーラス満貫ツモ条件のリーチで、対面の萩原選手が赤5ピンをポンした後の1巡目2巡目に1度成らず2度の当たり牌「4ピン」を呑気に切られた直後。

目を数回パチクリした園田選手。

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この試合のオーラスは、是非視聴して欲しいです。

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