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50円

先日、いつもの八百屋に買い出しに行ったのだが、残念な事にお店は定休日で閉まっていた。

その帰路にあるもう1軒の八百屋に顔をだした。いつも行く本命の八百屋は、50年以上地元で続いている八百屋で、今回顔を出した八百屋はここ10年位に創設されている。

2つの八百屋の共通点は、それぞれ70歳以上の高齢者が夫婦で働いている所。

シーズンが終わりかけているのだが、柿3つで500円が目につき、お会計をする。500円なので、消費税を入れると540円になる。

電子マネーが使えるお店ではないので、財布から1000円札一枚と50円玉一枚を出してお爺さんに渡すと。

「有難う。これおまけだよ」

と言って、500円玉のお釣りをもらい、消費税分をまけてもらった。
何かフワッとした幼少期の打菓子屋で「あたり」を引いた感じや、打菓子屋のおばさんがおまけに打菓子を1個くれた感覚が蘇る。

人生70年以上生きて、腰を曲げて白髪や皺が一杯になった爺様にとっては、アラフィフ近いオッサンでも子供や孫に接する感覚なんだと感心しました。

恐らく、そのオマケの50円は野菜や果物を買っていく地元住民にまた顔出してねというちょっとした商売人の人情と侘び寂びの世界なんだろうなとしみじみと感じながら帰路についた。

・・・

それから今週になり、スーパーで買い物をする時に、どうしても柑橘類が1つ食べたくなり、ばら売りの1個98円の伊予柑をカゴに入れた。

普段、買い物をした際には、買い物カゴから袋に移す際に目視で品目と凡その値段を確認しています。そして自宅に帰って再度レシートを捨てる前確認すると

オレンジ・・・148円

オ、オレンジ!? 
脳内で思考がフル回転する。
僅か50円でレシートと伊予菅1つもって、スーパーに戻るのも厳しいものがある。50円でいい歳こいたオッサンが少し疲れた顔して間違いを指摘しても、ちょっと優しさの足りないカスタマーハラスメントに思われるかも知れない。

いつも地元で利用するスーパーは、扱っている品目の多さに稀にレジのパートのお姉様方が間違えるときがある。頭の回転が速い時には、その間違いに直ぐに気が付いてレジで対応して貰っているのですが、今回は違った。

このスーパーでは柑橘類やバナナを買う時に良く間違えられます。
バナナも150円、250円、300円と3種類ありお店に長く務めた熟年の方でなければ見抜けない。柑橘類は、オレンジ、伊予菅、デコポン、ポンカンがあり、これまた慣れた方でなければ瞬時に見抜けない。

そして、高速に妄想した結果、八百屋のお爺さんの気持ちになってオマケだと思うようにした。

果物と僅か1枚の50円玉違いで心と脳を動かされた今年の1月だった。

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