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宮沢吾郎という男

本noteをお読み頂いている読者の方々に、昭和の名棋士宮沢 吾郎九段という人物を知って頂きたくこのnoteを書かさせて頂きます。(本文中の敬称略)

1.宮沢吾郎とは

宮沢 吾郎棋士は、ご存じの方々はいらっしゃると思いますが、さかなクンのお父さんです。

この映像の一番左手でサックスを奏で、お酒を飲み音楽に感覚を委ねてほろ酔い気分を楽しんでいるおっちゃんが宮沢吾郎です。

宮沢吾郎という男は、囲碁、酒、音楽、唄、そして皆の笑顔が大好物な愉快な飲兵衛おっちゃんです。御年72歳でこの元気な明るい様子を視てどのように感じられるでしょうか?

お若い人から中年男性の貴方が、飲み屋で仲間と飲食していてもきっとこの陽気なおじさんは許せてしまうと思うでしょう。もしかすると、この陽気なおじさんを自分達の飲み会に遊びに来て欲しいと思うでしょう。

2.筆者と宮沢吾郎

私が一番最初に出会ったのが、今から28年前の大学時代です。囲碁部のOBのお付き合いで宮沢先生のアマチュア向け勉強会に参加させて頂いた事が初めです。宮沢先生の第一印象は、いつも笑顔。どんな生徒さんの前でもニコニコ、そしてニカッとした笑顔を大切にしていました。

指導碁も2局以上ご指導頂きましたが、生徒の力量に応じた手を選択されており、さじ加減が絶妙でした。宮沢先生の指導碁を嫌いなアマチュアは恐らくいないと思います。私の場合には、高校で全国大会を2度経験した事も有ったので、宮沢先生からの指導はスーパーハードモードでした。

今でも宮沢先生の指導碁の内容は、ぼんやり覚えています。ボクシングで言うならば、こちらが両手を顔の前に挙げてガートをガッチリしている所に宮沢先生のハードパンチでゴリゴリと破壊してくるという感覚です。あの時には衝撃的な印象を受けましたが、昭和の一流棋士による私への愛情表現だと感じました。指導碁の教え方が非情に上手な先生です。

そして、私が大学を辞めてIT関係の中小企業に就職した頃、囲碁部OBの先輩とカラオケのある飲み屋に顔を出した所、宮沢先生にお会いしました。私がカラオケでBonJoviの「Have a Nice Day」を熱唱していると奥にいた宮沢先生が、ラテン系のノリで「はぶあないすで~い」と少し御酔いになられて上機嫌にそして陽気に乗ってくれました。

このとき、お酒と唄と音楽と陽気が根っから好きな方だと感じました。恐らくですが、宮沢先生のノリは今の若い世代でも嫌いではないように感じます。団塊の世代の人によっては、お酒で若い人に説教じみたり、上から目線の会話でマウントしてきたりする人も多かったですが、宮沢先生だけは感覚的には親父というよりは、同級生の友達に近い感覚がありました。

恐らくですが、この楽しい宮沢吾郎というおっちゃんと飲みたい方は、日本棋院に連絡して、宮沢吾郎先生に都内で美味しい食事とお酒をご用意したいのですがと相談すると良いでしょう。

3.棋士としての宮沢吾郎

宮沢先生は、日本囲碁界の昭和時代を築き上げた名棋士の1人です。宮沢先生は、流行りの布石や定石などをとても嫌います。正確には、宮沢先生が納得した布石や定石は取り入れるのですが、原則宮沢先生が模索して、自分で色々やってみて自分の感性に合う手を表現しています。

個性を出そうという事では有りません。棋士は、各予選の1勝1勝が非常に大きいため、多くのプロは勝率の高いと思われる手段を選択しますが、宮沢先生は喧嘩碁が大好きで自分の納得する1手を追い求められています。

最近では、日本の囲碁界を背負うであろう天才かつ努力家の仲邑菫二段(13)を「第61期十段戦予選A」において対戦し、日本囲碁界で恐らく一番囲碁の勉強をしているであろう仲邑菫二段を乱戦で勝ち切りました。仲邑菫二段は、小学校低学年の折に韓国まで修行しにいき韓国のトップ棋士にも将来を認められ、女性でありながら女性初の7大タイトルを挑戦される事が予想され、井山祐太棋士と並ぶ若しくは超える事を期待されている逸材です。

そんな、成長著しい現役バリバリの強い仲邑菫二段に対して、白番の宮沢吾郎(72)先生が、まるで現役バリバリの20歳の棋士のように盤上で大暴れして、乱戦を僅差で制していました。

私はとても嬉しかったです。アマチュア囲碁界でも日々レベルが上がって私のような昭和アマチュア囲碁人も食らいつくのがやっとな状態です。ゲージューぴったりになったら囲碁は引退した方が良いかと考えていましたが、宮沢先生の対局を視て、自分も長生きできたらもう少し囲碁人として頑張れるのかと大変大きな勇気を頂きました。

4.さかなクン

私はさかなクンをメディア越しにしか知りません。しかしながら、さかなクンの一挙手一投足がお父さんである宮沢先生とそっくりです。

さかなクンは、棋士ではありませんがお魚の研究を魚道というと語る位、日々魚の研究をされています。2022年4月には、東京海洋大学客員教授に昇格され更に魚道を邁進しています。これは碁石を握っていないだけで棋士道に相通じる生き方をされています。

そしてさかなクンが素晴らしい人物だと思うのが、「ギョギョ」と言っているのは周囲の人に笑顔でいて欲しいという気持ちの表れです。

そんなさかなクンの自叙伝を基に制作された映画「さかなのこ」が今秋9月1日(木)に上映されます。

天才棋士宮沢先生と天才さかなクンに囲まれた奥様がどのように旦那と子供に日々接していたのかが非情に興味深いので、映画館で視たいですね。そして、この映画は好きな事をやり切る大切さ周囲の人を想う大切さが感じられる映画だと思いますので、小さなお子様のいらっしゃるお父さん、お母さんはお時間があるときは是非ご家族で映画館で「さかなのこ」ご視聴下さい。

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