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華金の夜


今はいつだって日曜日みたいなものだから
別に華の金曜日と浮かれる必要はない。
仕事を辞めて数ヶ月。私はまだ動かない。

そもそも時代も変わって誰も彼もが金曜の夜を
待ち遠しく思っているわけではない。
それでもほんの少しだけ、自由な気持ちになるのが
金曜日なんだと思う。そう思う。

動かない私とは真逆の彼は
この不景気な時代というのに殺人的な忙しさだ。
でもとても充実しているのがよく分かる。
そして いい顔 をしている。
うん、一段と男前だ。

 「チカが動きたくなったら動けばいい
  君はそういう人だから
  そう出来る人だから」

彼は言う。何も心配がないかのように。
まるで私のこの先の人生を先回りして見てきたかのように。

今日も彼は残業で。
私は今は、今だけは今までの人生で1番の長いお休みだから
彼の会社の前で彼を待つ。

何時になっても構わない。
私を見つけた時の彼の
驚く顔とその後の笑顔を想像して。
手には花。
彼に渡す一輪の。
隠し持ってる ありがとう の気持ち。




✳︎ ヘッダーの写真、見えていないけど 画像右下の
 photo by 55danyl  をクリックしてみて!
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うたさんがB面を書いてくれました。
流石のうたさん!といった感じです。
うたさん、ありがとう♡♡♡








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