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きっかけ


きっかけ なんて突然なんだと思う。
本当にどこにどう転がってるか、分からない。
ある日、思ってもみない何かで 
ガラリ と変わることってあるんだと思う。


ある時、とある場所で、その子と出会った。

とても真面目で、なんだか自信がなくて、とにかく控えめな子。
「もっと勉強してから、改めてお願いする事にします」
という彼女に、私はなんでだろう?
とても大きな お節介 をした。

レザークラフトをやってみたい
そんな彼女に私は 普段はしないこと をした。
手紙を書いて、いろんな種類の革を入れて、
とりあえずやってみたら?と背中を押した。

普段はしないこと。
何が私を動かしたんだろう?
彼女の控えめで、見えないボーダーラインのその向こうに
たった一歩の足を置くことが難しいと思う気持ちを
ほんのちょっとお手伝いしたいなと
そう思っただけだった。

彼女は心と体調を崩していた。
薬をものすごくたくさん飲んでいて、日々の生活もままならなかった。
体調が悪くて起き上がれない日もあった。
でも彼女は レザークラフトをやってみたい
そう思って、小さな一歩を踏み出そうとしていた。

私は最初はそんな事は知らなかった。
でもなぜか私はその時、彼女の背中をポンと押した。
何も事情は知らなかったのに。

毎月送られてきていた律儀なメールにはいつも
私への感謝の言葉を綴ってくれる。
本当に頑張って、頑張って、自分を変えたのは彼女で。
努力して、工夫して、自分で考え、
沢山の人に喜んでもらえる商品を日々製作し続けた。

その途中、沢山飲んでいた薬はどんどん減っていった。
そして今ではもう、彼女には必要のないものとなった。

彼女の、けして楽ではなかった道のりを
ずっとその姿を見させてもらいながら
逆に多くをもらったのは私の方だ。


途中、販売の方法に迷う彼女に、少し突き放したようなメールを送った。
でもそれは、ものを作って販売していくとどうしてもぶち当たる壁のようなもので、私もここにぶち当たったことが過去に何度もある。
そこは 自分がどう向き合っていくか という部分だから
その子自身が気付いて、判断して、どうしたいかを決める必要があったから。

それから暫く、彼女からのメールは来なくなった。
私はそれでいいと思っていた。
彼女の頑張っている姿はずっとネットで見ていたし、
ちゃんと自分の方法を見つけて頑張れていることを知っていたから。

そして今日、彼女から久しぶりにメールが届いた。
また更なる挑戦を始めるという、嬉しいメールだった。

彼女はあの日から3年の月日を経て、大きく変化した。
日々頑張って、製作し、工夫して、販売することを仕事にしている。
ただただ感心する。彼女の努力に。
そして日々が充実していて楽しいという彼女に。

本当に ほんの一歩。
そこからはひとりひとりの足跡を残すしかない。
でもその きっかけ は、いつどこにあるか分からない。

それでも、その1番最初のきっかけを作ったのは間違いなく彼女で
私はそのきっかけに、ちょっと風を吹かせただけ なんだと思う。

そういうのを 縁 というのだと思う。




頑張る彼女の更なる挑戦に心からエールを贈ります





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