木漏れ日
木曜日のなんてことのない平日の午後は
こっそり会社をサボったり、一人で電車に乗って
海や大きい公園に行くのにちょうどいい。
普段は見かけない百貨店やデパートの紙袋を提げたおばちゃんたちが
ポカポカの温かい電車の座席で楽しそうにお喋りしているその前で
僕は目的もなくただ座っている。
慣れた電車を乗り換え、滅多に乗ることのない地下鉄に乗ると
初めて会う上司の家にお邪魔するような、そんな気持ちでソワソワする。
でもそれと同時に気心が知れていない分、背筋がシュッとして
気持ちもシャンとする。大事だよな、こういう緊張感て。
昨日、ある人にメールをした。
ずっと伝えていなかった気持ち。ありがとうという言葉。
もう半年以上も経ってしまったけれど。
返事には 私は至心に祈りを運びます と最後に綴られていた。
遅くなってしまった僕の欠如した不義理な心を
包み込んでくれたその人は古い友人だった。
知らない公園に着いて、ひんやりとしたアスファルトの壁に背を預ける。
キラキラと梅雨前の木漏れ日が眩しい。爽やかな風が吹いた。
その時、友人の祈りが僕に届いた。
確実にそれは祈りだった。
友人の言った言葉は正真正銘の本物で
僕は確実に祈られたことに気がついた。
本当の祈りってこういうことだったんだと知る。
今までの僕の祈りはどう届いているのだろうか。
きっとまだまだ足りないのだろうと思う。
想うこと、想われること。
祈ること、祈られること。
大事なことはふとした日にやってくる。
僕も祈ろう。
心を込めて、想いを込めて。
大切な人たちのために。
移りゆく景色を揺れる馴染みの箱に乗り
僕は遠くの暮れていく空を見ていた。
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