見出し画像

【漫談散策】おばあちゃんは沢山のことを教えてくれた

 皆さんはおばあちゃんとの思い出はありますか?

 今回は沢山のことを教えてくれたというアントニー君(Anthony Jeselnik氏)による漫談になります。

日本語字幕付きは ☞こちらから

【以下ネタバレあり】############################################################################################

TED風の語りが効果的

 スピーチで観客を引き付けるテクニックの一つとして、冒頭に自分の体験を語ることが挙げられます。今回の漫談の肝は、まさにそんなTEDでのプレゼンターが体験談を語るような、正統派のスピーチとはかくあるべきといった喋り口で進められる点でしょう。

 要所要所で笑い※を起こしつつも、数を取りに行こうという気配はなく、その積み上げてきたものを最後のオチで放出する。無駄のない、きれいな漫談だと思います。

※おばあちゃんから進捗を聞かれた時の返答で、「『聖書を4章まで読んだ』というのは、読んでないことがバレバレ」という、なじみがない人はピンと来ないネタがあります。聖書は多くの歴史書や預言書から成り立っているため、章番号だけではどこを読んでいるのかわかりません。「旧約聖書の詩編の途中までは読んだ。」とか言っておけば、おばあちゃんは感心していたと思います。(ちなみにジェイムズ王訳ですが、無料で全文読めました。やったね!☞https://www.kingjamesbibleonline.org/Bible-Books/

 オチの後、観客のアップがありますが、「面白いけど期待していた結末と違う」という表情をよく捉えていて、そこもまた好きです。

 この手の「灯台下暗し」的なオチは古今東西、色々あると思いますが、話自体は別のコメディアンの話が元ネタのようです(以下の動画参照)。オチだけが異なっていて、骨格は同じです。

 パクリと言って批判するのは少し寒い気がします。冒頭にも書いたとおり、この漫談の骨格は感動的な話を提供するという雰囲気づくりにあって、それを見事に演じています。


長い前振りは楽しい

 関連性は薄いですが、私が「長い前振り」と聞いて連想するのは、東京03のコント「東京の両親」です。日常会話レベルの冗談はあるものの、延々とボケのない演技が続き、「これどうやって面白くなるの?」「いつまで続くんだ?」と思わせ、溜めに溜めて、急に後ろからラッシュを食らいます。最高です。