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Study58.バターナッツカボチャのポタージュを美味しくするには、焦げない工夫と、じっくり加熱(2)

前回(Study57.バターナッツカボチャのポタージュを美味しくするには、焼く?蒸す?トースター?)に引き続き、バターナッツカボチャと向き合っていきます。今回は下記3通りの方法にしました。

1、アルミホイルをかけて魚焼きグリル
2、アルミホイルをかけて魚焼きグリル→煮る
3、フライパンで焼く→煮る

「アルミホイルをかける」理由は、前回トースターで焼いた際、カボチャの糖度が高いため柔らかくなるより先に表面が焦げてしまうことが分かったため、長時間加熱しても焦げないようにするためです。後半に「煮る」理由は、前回の実験の結果から、「フライパンで焼く」「トースターで焼く」の工程のみだと硬さが残り、ペーストにした時に舌触りが悪くなることが分かったためです。「1」は「2」との比較のためあえて煮ません。

(また、今回トースターではなく魚焼きグリルを使うのは、トースターを料理提供先に忘れてきてしまうというミスがあったためです。厳密にいうと加熱の仕組みが「直火」と「赤外線」とで違うのですが、魚焼きグリルの場合も検証しておこう、ということで使用しています)。

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まずはバターナッツカボチャを均等に130gに分けます。そのうち2つを魚焼きグリルに入れアルミホイルをかけて弱で加熱します。「1、アルミホイルをかけて魚焼きグリル」「2、アルミホイルをかけて魚焼きグリル→煮る」の分を焼いていきます。

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加熱から34分、バターナッツカボチャの先端が焦げているのを発見し、横に倒しで火に近い部分を交換しました。この時点で箸を挿し硬さを確認しましたが、皮に近い部分が固く火の通りが悪いことが分かります。加熱から46分後、箸が皮の方まで通ることを確認し火を止めます。

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先っぽがかなり焦げてしまいましたが、アルミホイルをかけずに焼いた前回に比べて、アルミホイルがかかっていた部分は焦げずに加熱できています。

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焦げてしまったことは残念ですが、焦げた部分の近くはホクホクに焼けています。アルミホイルからカボチャが顔を出さないように丁寧にアルミを被せることが重要そうです。スプーンを使ってカボチャの身を皮から剥がし、この時点でカボチャの重さは93gでした。

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ここから、魚焼きグリルで焼いたうちの1つをフライパンに移し、水(200ml)と中火でぐつぐつ煮ていきます。ヒタヒタくらいの量だとカボチャ全体に火が通ります。

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煮る前の93gに合わせるため重さを計りながら加熱し15分後、水が広がらず蒸発して泡にならなくなったタイミングまで加熱すると煮る前とほぼ同じ93gになりました。

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最後に「3、フライパンで焼く→煮る」です。火が通りやすいよう厚さ1㎝以内になるようにざっくりとスライスし、フライパンに米油(大さじ1)と共に入れて火にかけます。フライパンが温まったらとろ火にし焼いていきます。

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途中加熱から12分ほどで裏返し焼き、水を200ml入れ中火で煮ます。

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水面にカボチャが出てしまったため、潰しながら煮ています。

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水分がなくなるまで水を加えてから24分中火で加熱し、合計38分後に92gになりました。

ペーストは甘味を感じやすい?

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3種類そろいペーストにする前に味見したところ、味の感じ方に違いがありました。一番強い甘さがあったのは「2、アルミホイルをかけて魚焼きグリル→煮る」続いて「3、フライパンで焼く→煮る」最後に「1、アルミホイルをかけて魚焼きグリル」でした。「2」は強い甘さに驚き、「3」も負けないくらい甘みが強いです。この味の違いは攪拌しペーストにするとまた違った物になりました。「2」は煮た後だったのですでに荒いペースト状になってなっていて、「3」「1」になるにつれ固形になっていきます。ペーストだと甘味を感じやすく、固形だと感じにくいという性質があるのかもしれません。それぞれ80gの豆乳と攪拌しペーストにしていきます。

一番色が生のカボチャに近いのは魚焼きグリル

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まずは色味の違いから見ていきましょう。左から「1、魚焼きグリル」「2、魚焼きグリル→煮る」「3、フライパンで焼く→煮る」の順に並んでいます。

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「1」は一番赤みが強く、「2」は少し黄色味が強いです。「3」は黄色味は「2」と同じくらいですが白っぽくなっています。「3」はフライパンで焼く際に米油を入れているので、乳化し白っぽくなっているのかと思います。

加熱の仕方でサッパリしたり、マイルドにもなる

続いて味と舌触りの違いです。味については、結論からいうと「どれも甘くておいしい」です。ですが、よくよく味わうと味の違いが見つかってきました。甘味はどれも強いのですが、一番マイルドに感じるのは「3、フライパンで焼く→煮る」です。

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スプーンですくうとモタッとした感じが一番強く、舌触りのマイルドさに影響しているのかと思います。それに比べるとサッパリしているように感じるのは「1、魚焼きグリル」です。

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スプーンですくった感じも「3、フライパンで焼く→煮る」ほどではないですがモタッとしています。

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そしてほんの少し水っぽく感じるのは「2、魚焼きグリル→煮る」で、一番さらっとしています。スプーンにすくった際の表面張力の具合で少し感じていただけるかと思います。

煮ると、攪拌するとき泡立ちやすくなる

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その他気づいた点としては、真ん中の「2、魚焼きグリル→煮る」は攪拌した後に泡が消えにくいです。一番泡立ちにくいのは「1、魚焼きグリルで焼く」でした。ポタージュをつくる上で泡はあまりつくりたくないので、その点も踏まえるとあまり煮込まない方が良いかもしれません。

焦げないように工夫して、じっくり加熱すると滑らかに

舌触りの滑らかさは、今回どれもザラザラ感は気にならず滑らかな仕上がりになっていました。「煮る」という工程が加わっていたことと、焼いただけの「1」も前回よりも長時間焼いたため滑らかに仕上がったのかと思います。わざわざ煮込まなくても、焦げないように工夫しじっくり加熱すれば滑らかに仕上げることができそうです。

どれも美味しいけど、商品開発するなら魚焼きグリル

商品開発をする上では、トータルで考え「1、魚焼きグリルで焼く」に近い方法を採用していきたいと思います。ここまで違いを散々お話ししてきましたが、おすすめとしてはどれも甘くておいしいです。ご家庭ではかけられる時間も限られてくるかと思いますので、焦がさないように気をつけて、じっくりと火を通せる方法を選ぶと良いです。

さて、この実験と同時に、バターナッツカボチャの「タネとワタから出汁を取る」「ワタだけペーストにしてみる」という実験も行っていました。ここでもまた新しい発見がありましたので、次回紹介させていただきます。お楽しみに*

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