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Study62.かりんの美味しい食べ方を探る。部位ごとの個性

今日のテーマは「かりん」です。豊栄町じゅうの皆さんから「かりんいる?」「かりんのいい食べ方ってないかねえ?」と相談を頂くので、向き合ってみようと思います。庭の木からボロボロとかりんが落ちて、足の踏み場がない!と困っているというお声も聞きました。庭にかりんの木がある方は、毎年の悩みなんですね。

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今回は頂いたかりんを、「かりんジュレ」「かりんジャム」にしていきたいと思います。

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かりんを手に取ると、ぬるっとしているのが分かります。このベタつきが完熟した証拠です。

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私事ですが、年末のため研いだ包丁で最初に切ったのが、「固いから気をつけてね」とさんざん言われたかりんになりました。研いでおいてよかった。実際に切ってみると、研いだばかりだからかそんなに固い感じはしませんでした。

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半分に切った表面は、乾燥したりんごのような感じです。

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種とワタを取り出します。ここから「種」「ワタ」「皮」「身」の4つに分けてそれぞれの個性を探っていきます。

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取り出した直前には気づかなかったのですが、種からはぬめっとした透明の成分がたくさん出てきます。切った直前よりも時間を置くごとに増えている感じがしました。

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ワタはすぐに酸化して茶色に変化してきました。

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皮は少し固めですが、ピーラーで剥くことができました。ここからは部位ごとに煮込んでいきます。

身はりんごのような良い香り、煮汁は渋みが強い

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身はいちょう切りにして、柔らかくなるまで煮ます。かりんというより、りんごのような良い香りがしてきました。煮汁は渋みが強いです。

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柔らかくなったあとの身を食べてみると、渋みの強さに驚きます。食感や舌触りはカサカサしたりんごのような感じで、そのまま食べるのは難しそうです。続いて種を煮ていきます。

種の煮汁はとろみがあり、ブドウのような良い香り、ちょっと酸っぱく小豆色に

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種をお茶パックに入れて煮ていくと、煮汁がどんどん色づいて小豆色になっていきます。そして、煮込んでいくとブドウのような良い香りがしてきます。(生の種には毒がありますが、加熱・アルコール漬け・糖漬けのいずれかで分解されます。)

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しばらく煮てからお茶パックを持ち上げると、ゼリー状の成分が袋から滲み出しているのが分かります。今回はプルプルのジュレを作りたいので、煮汁の中で袋を揉んでとろみ成分を水に溶かすようにしました。

皮の煮汁は、カリンらしい良い香りとちょっと渋そうな香り、味も渋くて黄色に

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皮を煮ていくと、どんどん煮汁が黄色に染まっていきます。煮初めはりんごのような良い香りがし、煮続けるとどんどんカリンらしい香りも出てきます。今回のジュレをカリンらしくしてくれるのは「皮」かもしれない、という気がしていきます。

ワタの煮汁は、渋くて少し酸っぱい

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ワタは煮込んでもあまり香りも色も出ませんでしたが、渋みと少しだけ酸味を感じました。そのため、酸味を多少濃くしたいなら入れてもいいですが、入れなくても問題は無いように感じました。

煮込んでいくと赤みが濃く、トロみも出てくる

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全ての部位をしばらく煮た後は、ザルで濾して煮汁だけにし、砂糖を加えて煮詰めていきます。今回は加熱前のカリンの30%のきび砂糖を加えました。きび砂糖を加えてから気付いたのですが、元々砂糖に茶色い成分が含まれているので、煮汁が少しくすんでしまいました。

芳醇な香り、渋みも強い

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ある程度まで煮詰めたら荒熱をとり、消毒した小瓶に入れたら完成です。やっぱり少し色がくすんでしまいました。見本にしていたレシピでは、冷えた時にジュレのようになっていたんですが、今回はゼラチン質があまり無いように感じました。(原因はを調べた結果は最後に記載しています)

出来栄えは、芳醇な香りが鼻に抜けてとても美味しのですが、渋みの強さが気になります。渋みさえ少し抑えられればいいな、という感じです。

残った身はジャムに、でもシャリシャリが気になる

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エキスを煮出して残った身の部分はジャムにしていきます。ミキサーが回るくらいの水と共に攪拌した後、煮た後の40%のきび砂糖と混ぜ、フライパンで煮詰めていきます。

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こちらもきび砂糖のせいか、色がくすんできてしまいました。ヘラで混ぜながらモッタリとしたとろみになるまで水分を飛ばします。

こちらの出来栄えは、渋みが強く、攪拌仕切れなかった硬い繊維が口に触ります。この繊維の硬さは、長く煮込めば柔らかくなる、というものでも無い感じがしました。ジャムについては、もう少し全体的に改善が必要そうです。

かりんの部位ごと個性まとめ

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❶綺麗なをつけてくれるのは、「種の赤茶色」と「皮の黄色」
❷食べておいしいとろみを付けてくれるのは、「種」
❸良い香りを付けてくれるのは、「種のブドウの様な香り」「皮のカリンらしい香り」「身のりんごの様な香り」
を付けてくれるのは、「種・ワタ・身の酸味」「皮・ワタ・身の渋み」

種はとろみが出て香りも良いので、是非入れたい部分。皮は渋みも強いので入れない方が良いかもしれませんが、カリンらしい香りを放ってくれるので悩みどころです。身も良い香りがし、甘味と相性の良い酸味を出してくれるので入れたい部分です。ワタは酸味と渋みを出すので、もしかしたら入れなくても良いのかもしれません。

香りや味は複雑になると美味しくなる(「深みが出る」と表現される)のでなるべく色んな部位を入れたいものです。渋みだけどうにか改善したいな、という思いがあるので、もう少し改善を検討していきたいと思います。

参考にしたレシピ:つくる楽しみ

ジュレにならなかった理由は?

ジャムをゲル化させるには一定の「糖度60~65%」と「酸度pH2.8~3.2」が必要なようです。今回入れた砂糖の量はカリンの30%。そもそも煮汁を基準にしていないので正確に判断出来ませんが、少なすぎたのだと思います。砂糖を普段あまり入れないので加減しすぎました。次回は、「煮汁の60%以上」を意識して作りたいと思います。次回もお楽しみに*

参考ページ:広島県HP ジャムをゲル化させる方法

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