Study61.白ネギを美味しいポタージュにするに、香りが良いのは「よく炒めて煮る」、次に「炒めて煮る」
前回の実験に引き続き、おいしい白ねぎポタージュを目指して実験を進めていきましょう。
前回わかったことはこちら、
1、切り方で味に差は出ないけど、滑らかなのは斜めスライス。
2、塩を早めに加えても状態に差は出ないけど、甘味を引き出す。
このことを踏まえて、今回は全てのパターンで「斜めスライス」「塩で和える」ことにして、下の3つの条件で実験します。
1、炒めるだけ
2、炒めて煮る
3、よく炒めて煮る
煮ることによってポタージュは美味しくなるか？炒める時間は長い方が美味しくなるのか？を探っていきます。
全て同じ切り方、斜めスライスを60gずつ用意します。
いずれも炒める直前に0.6g（1％）の塩で和えます。
「1、炒めるだけ」は前回同様、米油（大さじ1）と共に火にかけ、焼ける音がしてきたらトロ火にします。
たまに混ぜては広げながら10分炒め、45gになりました。
続いての「2、炒めて煮る」は、炒める段階までは「1」と一緒です。炒めた後に水（100ml）を加えて再沸騰するまで強火にかけ、湧いてきたらトロ火にして10分煮ます。
煮汁が残った状態で重さを測り、95gでした。
「3、よく炒めて煮る」は、炒めの工程を10分から15分に延ばします。5分時間が延びただけで、水分量の少ない皮の部分が少し焦げました。炒めたねぎ自体は一番美味しそうに見えますが、どう転ぶでしょうか？
さらに水（100ml）を加え、「2」と同様10分煮ます。
この時、「1・2」よりも全体的に色が悪いことが気になりました。日が長く通っている分、緑色がくすんでいます。10分後、重さは87gになりました。
3パターンが出揃いました。左から「1、炒めるだけ」「2、炒めて煮る」「3、よく炒めて煮る」の順で並んでいます。やはり右下の「3、よく炒めて煮る」は少し色が暗いように見えます。
「2、炒めて煮る」は煮汁にとろみがつき、このままでも美味しそうです。
「3、よく炒めて煮る」は煮汁も少し茶色がかっていますが、「2」と同様トロトロの煮汁が美味しそうです。続いて、ペーストにしていきます。
全て、水分量・豆乳の量が同様にするため、全体量が125gになるように水と豆乳で調整します。
1、ねぎ60g ＋水50g＋豆乳30g
2、ねぎと煮汁95g ＋豆乳30g
3、ねぎと煮汁87g＋水8g＋豆乳30g
左から「1、炒めるだけ」「2、炒めて煮る」「3、よく炒めて煮る」です。「3」が若干ですが、色が暗く仕上がりました。
一番トロみが出るのは「炒めて煮る」、サラッとするのは「よく炒めて煮る」
とろみの状態にも差が出ました。見た目には伝わりにくいのですが、「2、炒めて煮る」は一番トロみが強いです。煮汁にトロみが十分に出ていることと、最後に加えた水分（水を加えていない）が一番少ないことが関係しているかと思います。
一番サラッと仕上がったのは「3、よく炒めて煮る」でした。最後に加えた水分が一番多いのは「1、炒めるだけ」のはずですが、どうしてかこういった結果になりました。
「1、炒めるだけ」 最後に加えた水分 水50g＋豆乳30g＝80g
「3、よく炒めて煮る」最後に加えた水分 水8g＋豆乳30g＝38g
不思議な結果が出ました。
香りが良いのは「よく炒めて煮る」、次に「炒めて煮る」
「3、よく炒めて煮る」はよく炒めた分、香ばしいねぎの香りがします。次に香り良く感じたのは「2、炒めて煮る」でした。ねぎの良い香りがしてきます。「1、炒めるだけ」は、青臭さのようなものが残り、あまり良い香りに感じませんでした。
クリーミーな美味しさがあるのは「炒めて煮る」、さっぱりとした美味しさは「炒める」
おいしいと感じたのは、「1、炒めるだけ」「2、炒めて煮る」でした。好みが別れるな、と感じたのですが、「1、炒めるだけ」はさっぱりとした美味しさがあり、「1、炒めるだけ」はクリーミーな美味しさがあります。美味しさが、舌触りに大きく関係しているようです。また、若干ではあるのですが「1、炒めるだけ」の方が美味しく感じたように思いました。加熱が長すぎても美味しさが減ってしまうのかもしれません。ただし、ポタージュは香りがとても大切なため、一概に「1、炒めるだけ」を選ぶわけにもいきません。
だんだんと条件が絞れてきましたが、「加熱時間の長さ」と「美味しさ・香り」の関係性をもう少し比較する必要がありそうです。引き続き、お楽しみに＊
これまでの実験はこちらからご覧いただけます。
Study60.白ネギを美味しいポタージュにするには斜めスライスし、塩は早めに加える。
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