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Study59.バターナッツカボチャを美味しいポタージュにするには、種・ワタを出汁にする(3)

前回のバターナッツカボチャ実験と同時に行っていた、捨ててしまいがちな「タネ」「ワタ」「皮」の部分をうまく活用できないかを確かめるための実験を紹介します。行ったのは次の3つです。

・タネとワタから出汁を取る
・タネをオーブン焼きに
・ワタ、皮でペーストをつくる

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この実験のきっかけは、食材の下処理で「タネ」を取る際、少し残った「ワタ」を一生懸命キレイに取り去る必要があるのだろうか?と疑問に思ったことからです。美味しいのであれば神経質に取り除く必要はなく、手間も楽になります。そこで「ワタ」自体の味を確かめようと考えたことと、それなら「タネ」「皮」の活用方法も確かめてみよう、と思いつきました。

元々、この捨てられがちな部分は栄養価が高いと言われているので、使えることが分かればとても嬉しい発見になります。

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まずは、「タネ」「ワタ」から出汁を取るため、200mlの水と火にかけます。

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湧いてきたらトロ火にして30分加熱し、ザルに上げて水気を切ります。

出汁は、ポタージュを美味しくする?

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トロッとして見た目は少し甘そうですが、口に含んでみると甘味は全くなく、少し「渋味」もしくは「苦味」のような物をうっすら感じました。このままだと美味しい味とは言えません。塩を少し加えてみても、「少し味のついた塩水」という感じで美味しくはありませんでした。

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これを前回紹介した実験で作っていたバターナッツカボチャの身のペーストに混ぜたところ、不思議なことに少しおいしくなったように感じました。

混ぜると美味しくなることがある

出汁自体が美味しくなくても、他の旨味のある食材に混ぜると美味しさが増す、ということがあります。昆布出汁などが代表的な例です。昆布出汁は、出汁文化のなかった国の研究者が昆布の茹で汁を試食し「まずい味」と表現された過去があります。確かに薄い昆布だしは単体だと美味しさを感じにくく、それでも他の調味料や食材と合わさることで美味しさの相乗効果が生まれます。そんなことが起きているのかもしれない、と期待しているから美味しいのか、本当にポタージュ自体が美味しくなっているのか定かではありませんが、美味しくなっているように感じました。これは大きな発見です。

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ひとつだけ気になったのは、攪拌していないので口の中で噛んだ時に少しシャリシャリすることです。もしポタージュに入れる場合は、混ぜた後に一緒に攪拌する必要がありそうです。

タネは、焦がさないようにもう少し焼く必要

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続いて、出汁をとったあとのタネをアルミホイルの上に並べ、魚焼きグリルで焼きました。6分ほどで弾け始めたため様子を確認したところ、焦がしてしまいました。

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殻を割ると中からよくパッケージになって売っている「カボチャの種」が顔を出し、美味しく食べることができました。殻を剥く手間が大変なので、まるごと食べる方法も検討していきます。

皮は舌触りが悪くなりそうな固さ

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出汁をとったあとの「ワタ」、魚焼きグリルで焼き実を剥がしたあとの「皮」を用意します。この時点で、「皮」のあまりの硬さに攪拌しても舌触りを邪魔する想像しかできなかったため「皮」をペーストにすることは諦めました。「ワタ」と豆乳を合わせ攪拌したものがこちらです。

ワタは渋みがある。

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とても赤みが強く、身の部分のどれよりもオレンジかがっています。すくうとトロッとして見えますが、粘りがなく口に含むとさらっとしています。甘そうな見た目とは裏腹に、かなり薄味で出汁ににた渋みも少し感じます。そして、食べ続けていると舌に渋みが残ります。

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一番左が「ワタ」をペーストにしたもので、右3つはバターナッツカボチャの身の部分です。「ワタ」の部分が一番赤みが強いことが分かります。苦味を気にしなければ、ポタージュをオレンジ色に寄せたい時に良さそうです。

ワタは入れた方が、美味しい?

こちらもポタージュに混ぜてみたところ、味は邪魔しませんでした。そして、ただただ甘いだけだったポタージュに何かしたらの「味」が加わり、食事として食べやすいポタージュに変化したように感じました。しかし、渋みをどう捉えるかは人それぞれ感じ方が違うかと思いますので、商品にする際はよくよく考えていこうと思います。

皮の活用は断念しましたが、タネ・皮は生かしていく道が見えてきました。ワタは、ポタージュにするならあまり神経質に取り除かなくても良さそうです。タネ・ワタの活用については、引き続き実験を重ねていきます。続いては、どんな食材と合わせるか?に移っていきますので、次回もお楽しみに*





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