『天使の翼』第10章(34)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
軍装を解いた長官とわたし達は、副官の操縦するエアカーで郊外にある湖の桟橋へと向かった。対岸に町の灯り、人家の灯りらしきものはなく、今はすっかり上がった雨の後の清澄な月明かりの下で、かろうじて向こう岸らしきラインが見て取れる。とても大きな湖。名ばかりの湖とは違う本物の湖。
長官は、どこかの探検家か何かのような出で立ちで、垢抜けている、とは言えなかったが、なるほど先刻までの軍服が野暮ったく見えるほどには個性的で、まるで性格まで変ってしまったようだ。中将の位階で飾り立てた軍服を