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映画「わたしの幸せな結婚」@ユナイテッド・シネマ ウニクス秩父

 異能を持つ家系・斎森家に生まれながら、異能を持たない美世(今田美桜)は継母や異母妹に苛められながら育った。19歳になり、彼女は久堂清霞(目黒蓮)のもとに嫁ぐ。それは政略結婚であった。

 久堂家に入った当日、清霞は美世にこう言い放つ。

「ここでは私の言うことに絶対従え。
 出ていけと言ったら出ていけ。
 死ねと言ったら死ね。
 異論反論は聞かん」

 極めて冷たい言葉だが、虐げられ自己肯定感が持てない美世にとっては、無視されなかっただけでも救いだったのではないか?「出ていけ」も「死ね」も、相手を認識しないと言えない科白だ。

 美世は「自分が大嫌い」だと言う。だが、「嫌われたくない」とも言う。絶え間ない自己否定は自己愛に転化する。私にもそんなところがある。生きづらさを抱えた人間の苦しさ・つらさを今田美桜がよく演じていたと思う。

 なかなか心を開かない清霞であったが、一途に尽くす美世にほだされ、優しさを投げ返し始める。美世が清霞の後髪をまとめるシーン、彼女の恋する気持ちが表情に表れていた。

 冒頭に用語の解説がある。「異形」だの「異能」だの「夢見の才」だのは原作を読んでいないとチト難しい。だが、ラブストーリーとしては、いわゆる濡れ場はないものの、二人のさわやかで健気なやりとりにキュンとなった。劇中で清霞が美世を何度か抱きしめる。それだけで思いは伝わる。

 スタッフロールの後、続篇を示唆する場面がある。

 

 


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