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11月30日(月)笑福亭鶴瓶落語会



鶴瓶『鶴瓶噺』
 例の如く、定刻通りに普段着で登場しての立ち話。遅れてきたお客様をいじり、笑いを呼ぶ。鶴瓶師が「そんなことある?!」と連呼するほどの爆笑エピソードの連続。これも「縁」と鶴瓶師の「人柄」が手繰り寄せたのだろう。
 今年亡くなった3人の人物について語られる。弟子の笑福亭笑瓶師・鶴瓶師の実の姉・兄。笑いのうちに故人を偲ぶのが「落語家の流儀」なのだろう。

 鶴瓶師が着物に着替える間、スクリーンに本年2月22日に逝去した笑瓶師との思い出映像が流される。師弟の漫才から始まるその記録と記憶に笑いながらも涙した。

鶴瓶『青木先生』
 高校時代の恩師・青木先生の思い出を描いた『私落語』。入れ歯をモゴモゴ言わせ、怒ったら入れ歯の隙間からピーッと音を鳴らす青木先生とピーッを聴きたい策士・駿河学(鶴瓶師の本名)達の攻防を描く。
 青木先生をからかいつつも、彼らは本当は青木先生の事が好きなのだ。大いに笑ったあと今は亡き人と過ぎ去った時間に想いを馳せる。
 
鶴瓶『芝浜』
 大阪の鮮魚商『魚勝』の息子・勝三は吉原の花魁に恋をし、夫婦になろうとするが、父親に認められず勘当され、江戸で棒手振りとして生きていくことにする。だが、河岸では「ゼエロク」とバカにされ、心が荒んだ勝三、怠け癖が出て酒に溺れ、次第に河岸から遠ざかってゆく。そんなある朝、女房に起こされ諭され、不承不承河岸へ出掛けた勝三は、海で財布を拾う。

 江戸落語の人情噺『芝浜』は上方では『夢の皮財布』として口演され、舞台も大阪に移される。だが、鶴瓶師は舞台は江戸のまま、主人公を上方から江戸に移り住んだ勝三に設定して、独自の『芝浜』を創りあげた。
 家を出たあと、芝の浜で財布を披露までの下りはカットされ、帰った後、勝三が女房に口頭で説明する。ここらへんは古今亭流か?女房の「告白」の後、勝三が「お手をお上げなすって」というのはおんなじだ。

 今夜の鶴瓶師、やや早口だったように思う。なので、駆け足気味の『芝浜』だったのが残念だ。
 
 終演後は恒例の送り三味線で規制退場となった。


 

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