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9月4日(日)立川談春独演会2022@ルネこだいら 大ホール

春次郎「十徳」
談春「死神」

※「私も2~3年前まではチケットの取りにくい落語家と言われておりました。今はそうでもないみたいですね」

香川照之の件で「赤めだか」が放送出来なくなったと言って嘆く。

ある男が死を決意する。それをみすぼらしい男が止める。死神である。「医者になれ」とけしかける。患者の足元に死神が座っていれば、

「国で弔うってこれどうなの?」

と唱えれば、死神は去り、病たちどころに平癒する。ただし、死神が枕元にいた場合は、その患者には触ってはいけない。

男は最初の患者を首尾よく治す。その家の番頭がやってきて、男の番頭になる。以降、番頭の力もあり、大いに儲ける。ある時、番頭からの提案で伊勢参りに行くことになる。ところが帰ってみると家はもぬけの殻。女房は番頭と手に手を取って逃げていた。再び「医者」の仕事に精を出すが、行く家行く家、枕元に死神が。ある家の患者も枕元に死神がいた。大金を出すと言われ、男は禁忌を犯す。

通常は、ろうそくを継ごうとして失敗し、男が死んでサゲとなるが、談春版はろうそく継ぎに成功する。ここからが長い。長い暗闇を抜け、地上に戻り、無限ループへと入ってゆく。

因果は巡る。立場を入れかえながら続く生と死の物語。談春師の想像力と創造力が交差するスリリングな一席である。

ー仲入りー
談春「井戸の茶碗」

※屑屋を営む清兵衛は「正直清兵衛」と言われていた。彼がある長屋に入ると美しい娘から呼び止められる。中に入ると浪々の身の千代田卜斎から仏像を買うように言われる。清兵衛は仏像を二百文で引き取る。清兵衛が仏像を籠に入れて流していると、若き侍、高木佐久左衛門が三百文で仏像を買う。その仏像を磨いてみると中から五十両が出てくる。これ以降、両家の間を金や茶碗や娘までもが行き来する事になる。

談春版「井戸の茶碗」は分からず屋二人の間を行ったり来たりする理屈ぽい屑屋の物語と取れなくもない。決して美談では終わらせない、キレイゴトではない一席に仕上がった。

清正公様の茶店で屑屋達が噂しあう場面はまるごとカットされていた。

最後は恒例、手締めで幕となった。



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