同期の彼 16
「ちゃんと帰れる?気をつけろよ」
「ははは。ジミン…うちすぐそこじゃん笑 襲われる前に帰れるよ」
「襲われないと思うけど笑…転ぶじゃん?そんな高いヒール履いてるし」
「10センチヒールね笑」
履いてるピンヒールをジミンにみせながら「私これ履いたらし、ジミンと同じ173センチーー」
っていったら
「テテはこのヒール履いてても私より全然背が高くて…」とまた色々思い出して泣けて来た…
「やなヤツ…ほら早く帰れよ」
ジミンに背中を押されてトボトボ家に帰る。泣いたら酔いが覚めて来て玄関に靴を脱ぎ捨てて、冷蔵庫から缶ビールを出してベランダで飲むことにした。
もう9月もすぐそこなのに…暑っついなー。
やっぱり夏休みテテと韓国に行けばよかったなー。
私はおばあちゃんの新盆だから実家に帰るため韓国に行くのを諦めた。
あの時彼女に会ってまた付き合うことになったのかなー。
だから帰って来てから勉強してるっていって会わないようにしてるのかな?
「あーーっどんどん負のループに落ちていくーーー」
気がつけばビールも2本目。
ベランダの手すりにもたれかかりながら
プシュっと缶を開けた途端…
「アツーー」下から声が聞こえた。
覗き込んでみるとテテが手を振ってる!
「テテ!どうしたの?」
私が声をあげると「しーーっ」ってしてエントランスへ入っていった。
すぐにインターホンが鳴って…
テテが小声ではなし始めた。
「今さ、ジミンに聞いて、急いできたんだ。
シャワー浴びちゃったから頭ボサボサだけど…
ごめん。あーそういうごめんじゃなくて…なんか誤解なんだ…アツごめん。」
精一杯に謝っている彼のごめんは何への謝罪なのかわからなかったけど、ここまで走って会いに来てくれたことがうれしくて、
「テテ…インターフォンでしゃべらないで上がって」
とオートロックを解除した。
「上がっていーの?」
「うん。」
「ありがとう」
エレベーターの着く音がしたので玄関のドアを少し開けると滑り込むように
入ってきた彼にギュッと抱きしめられた。
「ごめん」
夜の匂いがする彼の胸に顔をつけたまま無言でぎゅっと抱きしめ返す。
私の肩に手を置いて身体を離すと
「なんて言われたの?何もされなかった」と心配そうに聞かれた。
私が首を横に振ると、
「あーよかった。」
ほっとした顔をして
「言われたこと全部話して。
そしたらちゃんと答えるから。
ねえ、ちゃんと否定させて」
彼は膝を屈めて私と同じ目線で
いった。
見つめられてたまま、どうしよう…って思ったけど、泣かないように深呼吸して答えた。
「テテの元カノだって…いった。」
「そっか…それは本当」
あーやっぱり本当だよね…
「テテがこの間ソウルに帰った時に会ったって」
「んーそれもそうだけど…たまたま同期と飲みに行った時に居ただけで2人であったわけじゃない…んだ」
「で、その時また付き合うことにしたって。」
「なにそれ…」
テテの顔が激しく歪んだ。
「私が2人の仲を邪魔してるって」
「チンチャ…ふざけんな」
より一層怒った顔になった。
「それは本当に違うから。」
「そう…なの?」
下を向いてる私の顔を両手で包んで目を合わせると
「それは絶対ない。神様に誓って。僕の天使さまにも誓っていい」
真剣な眼差しでみつめながらそうキッパリと否定した。
それなら彼女はどうして…わざわざ私にバレる嘘までついて会いにきたんだろう。聞きたい言葉を飲み込んで、目をそらすと、「明日ちゃんと話してくる。アツが納得いくように。」
といった。
ダメ…会わないで…会わないでほしい。
あったら彼女のおもうツボか気がして
そのままテテにしがみついた。
誰にでも過去はある。
過去は消せない。
どんな過去も全部飲み込んで私は彼のことが好きなんだ。
絶対彼女の思う通りにはさせない。
そう心に誓った。
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