お布団工房 HIMARIシリーズ

先日、お布団のメーカー(お布団工房 株式会社コバックス)の四代目社長、中條裕介さんにお会いする機会があった。ベッドの上に敷く敷布団を探していたのでお布団工房の『HIMARI(日葵)』シリーズ、敷布団と掛け布団のセットを買って使ってみた。

HIMARI(日葵)シリーズの敷布団は表面生地は綿100%、芯になる固綿はポリエステル、固綿にまきつける巻きわたはウール50%、テイジンのMIGHTYTOP® Ⅱ(ポリエステル)50%。結論から言うと、肌に触れる素材が綿であること、ウールとMIGHTYTOP® Ⅱの配合バランスによって、熱や湿気を逃す機能と、硬さ、へたりにくさ、価格のバランスがよく取れていると思った。

買った後に気づいたのだが、お布団工房のウェブサイトを見てみると、布団ができるまでの工程が全公開されているではないか。工場は見せずにブランディングだけを行う製品も多いなかで、全てを見せられるというのは信用そのものにつながっている。この動画で安心して新規購入、継続購入を決める人も多そうだ。出演されている方たちの仕事に対する姿勢が感じられて買ったこちらが嬉しくなった。

https://www.youtube.com/watch?v=iH50HJve5z0&list=TLGGI3iqdnkGwjcwMTA2MjAyNA

中條さんと会ったこともあって、睡眠に関する現状を振り返ることにした。

▼寝る前の準備としてやっていること
1、BPMの緩やかな音楽を聴いたり、マインドフルネスを取り入れたり、お風呂でゆっくりリラックスするなどして、緊張をほぐして、深呼吸をして、呼吸を深く安定させる。

2、遮光性の高いカーテンなどで光を遮断する。

3、室内の温度、湿度をシーズンに合わせてできるだけ自分に最適化する。エアコン、空気清浄機、加湿器、風を通すなど。

▼睡眠の導入としてやっていたこと。
4、睡眠導入時は体温が下がるため皮膚からの放熱が活発になる。その時に放射熱をうまく逃せないと暑苦しくなって寝つきが悪くなるため、睡眠導入時のみ放射熱を上手に逃がす工夫をしている。夏場は特に熱を布団に篭らせないため、扇風機(ファン)がついている『空調ベッド』と呼ばれているものを使っていた。扇風機付きの上着を着ている人を建設現場などで見かけることがあるが、それを敷布団に応用したもの。タイマーがついていて睡眠導入の間だけ使うことができる。しかし、空気を送る層の素材が固くて、寝心地が悪いのと、マットレスの体圧分散がうまく機能しなくなるという弱点を感じていた。

▼睡眠時
5、季節によって掛け布団の種類を変える。タオルケットや羽毛布団など。

▼起床
6、体温が上がってきて起床のリズムが現れるのを意識的に感じるようにしている。起きる時には遮光性の高いカーテンを開けることによって、太陽光を浴びて身体に朝を確認させる。

意識していたのは、このくらい。

ちょっと話が変わるが、最近、建築の勉強をしているので、外壁の素材や環境工学に関する知識をインプットしていたのだが、建築の要素をデザインしていくと重要なポイントの一つに熱移動がある。熱移動の3原則は『熱伝導・対流・熱放射(輻射)』。室内の温度をコントロールする建築的な発想は、布団づくりにも使えると思った。

熱伝導率は一般的に下記のように言われる。

鉄83.5 >> 氷2.2 > ガラス1 > 水0.582 > 木材0.15 > ウールブレス(羊毛)0.040 > 空気0.0241 (W/m・k)

鉄と水と木と羊毛が、室温25度の部屋にあった場合、どれも表面温度は同じ25度で留まり安定するのだが、体温36度程度の人がそれぞれの素材に触れると、36度から25度の方に熱が移動を始める。熱伝導率が高いほど、移動速度が速いので表面温度が同じでも木より水、水より鉄の方が冷たく感じるのだ。

そんなことを深掘りしていると、「公定水分率」という基準に到達。公定水分率とは、温度20℃湿度65%の環境における繊維内の水分率のこと。たとえば、ウールには内部に空気などや湿気が滞在できる『間(あいだ)』があるのだ。ウールはダウンや絹や麻よりも公定水分量が多い。このウールの間が機能して不要な熱や湿気を持って行ってくれる。お布団工房の『HIMARI(日葵)』シリーズはウールの『間』をうまく生かして、硬さ、へたりにくさ、価格のバランスとの調整が絶妙にとられている商品なのだ。

ウールの間を最大限に生かすには、熱が間に移動したら寝返りをして、たまった熱や水蒸気を逃してあげて、また寝返りをうてば快適さが維持できるのだ。ウール敷布団で寝返りを打ちながら寝ることの仕組みを意識することができた。

いままでの寝る段取りに、下記が追加され、空調ベッドが除外されることになりそう。

1、布団に入る前に睡眠導入時に起きる熱放出をしてしまう。寝付きの時に、敷き布団に熱が溜まっていない状態にする。

2、敷布団をウール素材ブレンドにして、寝返りでもって、朝まで快適に寝る。

今度、中條社長とウールの凄さ、睡眠の構造、東京での睡眠事情、商品開発秘話などについてお話ししてみたいと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?