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【試験対策】キャリアコンサルタント試験団体による試験内容の違い_面談における展開

こんにちは、キャリアコンサルタントKです。

今回は前回の記事「キャリアコンサルタント受験団体の選び方」で触れた2団体の違いの中でも、最も大きな違いである「面談における具体的な展開・ステップの違い」について書きます。

1.「展開の違い」は2団体の「考え方の違い」で捉える

人を相手にするキャリアコンサルティングにおいて「唯一、絶対の進め方」は存在しません。

それゆえ、キャリアコンサルティングにおいて重視する考え方(=具体的な進め方・展開)は人それぞれ存在し、もちろん試験団体によっても考え方の違いがあります。

◎特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDAと記載)

重視する考え方は「経験代謝」です。

◎特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会(協議会と記載)

重視する考え方は「システマチックアプローチ」です。

つまり、JCDAで受験をするのであれば「経験代謝をどれだけ理解しているか?実践できるか?」が問われ、協議会で受験をするのであれば「システマチックアプローチをどれだけ理解しているか?実践できるか?」が問われます。

2.キャリアコンサルティングの良し悪しを「どう評価するか」の視点を持つ

前述の通り、キャリアコンサルティングに「唯一、絶対の進め方」はありません。

もっと極端に言ってしまえば「相談者が語ることに対してキャリアコンサルタントが「うんうん」と聞いてるだけで、相談者が自然と悩みを解消する」こともあります。

そうした性質を持つキャリアコンサルティングを、国家資格(試験)の試験団体はどのように良し悪しを評価すのでしょうか?

それは、キャリアコンサルティングにおけるステップ(重視する考え方)をどの程度、理解して実践できているか?で判断をするしか方法がありません。

ステップ(重視する考え方)は「評価項目」と捉えることができ、その評価項目ごとに受講者が行うキャリアコンサルティング(ロールプレイ)を評価することで「合否」を算出することができます。

3.経験代謝とは何か?

経験代謝は「経験を糧にする」に関するメカニズム、具体的な仕組みの提示をむしろ中心に考えています。「経験を糧にする」仕組み、その能力は本来人間に備わっている能力です。『「経験代謝」によるキャリアカウンセリング-自己を見つめ、学びを得る力- 第3版』P.51から引用

◎経験代謝のイメージ図

プレゼンテーション1

具体的には「経験の再現」をすることで「意味の出現」が促され、「意味の実現」につながるというカウンセリング全体のメカニズムです。

もし「この図を初めて見た」「見たことはあるが、なんのことか分からない」であれば、試験団体は協議会を推奨します(理由は後述します)

◎キャリアコンサルタントの試験で重視されるのが「経験の再現」

経験の部分に「出来事+感情」と記載している通り、キャリアコンサルティング(ロールプレイ)を行う上では「出来事と気持ちの両面を聴いていくこと」が求められます。

◎経験の再現の事例

キャリアコンサルタント(以下CC):今日はどういったご相談ですか?
相談者(以下CL):先日、人事異動を言われたのですが、気持ちの整理ができません。

CC:人事異動を言われたのですね。具体的に異動を言われた時のことを教えてください。←「出来事」を聴く
CL:1週間前、突然上司に呼ばれ、その場で口頭で「来月から総務部に移動をして欲しい」と言われました。

CC:そうだったのですね。それを言われた時、どのような気持ちでしたか?←「気持ち」を聴く
CL:なんで自分が、、、という思い、頭が真っ白になりました。​

4.システマチック・アプローチとは何か?

キャリアコンサルティングにおける一般的なアプローチがシステマチック・アプローチです。

「システマチック・アプローチはこれ」という明確な定義があるわけではなく、職業や雇用カウンセリングの場面で行われてきた手順(ステップ)を総称してシステマチック・アプローチと呼ばれ、以下が代表的なステップとなります。

◎システマチック・アプローチのステップ

プレゼンテーション1-7

◎キャリアコンサルタントの試験で重視されるのが「確認(共有)」

上記のステップに従って進めていくことになりますが、そこで大切なことはキャリアコンサルタントが相談者の語りを丁寧に確認(共有)することです。

◎キャリアコンサルタントと相談者の確認(共有)の事例

キャリアコンサルタント(以下CC):今日はどういったご相談ですか?
相談者(以下CL):先日、人事異動を言われたのですが、気持ちの整理ができません。

CC:人事異動を言われ、気持ちの整理ができていないのですね。←相談者の語りを要約して確認している。
もう少し具体的に教えていただけますか?
CL:1週間前、突然上司に呼ばれ、その場で口頭で「来月から総務部に移動をして欲しい」と言われました。

CC:そうだったのですね。それを言われた時、どのような気持ちでしたか?
CL:なんで自分が、、、という思い、頭が真っ白になりました。

CC:来月から総務部に移動と言われ、頭が真っ白になってしまったのですね。←相談者の語りを要約して確認している。

5.【まとめ】ロールプレイでは何が求められるか

ロールプレイはキャリアコンサルティングにおける最初の15分を実施(再現)することが求められます。

①どちらの団体でも「キャリアコンサルタントの基本的な姿勢(傾聴や受容)」は求められます(専門用語では相談者との望ましい関係性を「ラポール」といいます)

「ラポールは最初に築くことができればOK」と勘違いしている人も多いですが、ラポールは「キャリアコンサルティングを実施している間、常に築いている必要があるもの」です。

②「経験代謝」「システマチック・アプローチ」の「最初の段階」が実施できれば十分です。

◎協議会

「カウンセリングの開始」「問題の把握」が目安

◎JCDA

「経験の再現」が目安

③それ以降のステップはロールプレイのあとで続けて行われる「口頭試問」で言及できればOKです。

◎協議会

「目標の設定」が目安

◎JCDA

「意味の出現」が目安

プレゼンテーション1

6.【重要】口頭試問を軽視しない

ロールプレイではいずれのステップでも「最初の段階」ができれば十分と記載しました。

しかし、受験をする皆さんは「まだキャリアコンサルタントではない」ですし、当日は緊張をしているので「上手くいかない」こともあるはずです。

ここで重要になるのが口頭試問です。

プレゼンテーション1

上記の表にある通り、各ステップを「わかっていて」「できる」のが理想ではあります。

しかし、仮に「できなかった」としても、本当は「これ」をやりたかったけどできなかった(わかってはいたけど実施できなかった)ことが口頭試問で伝えることができれば十分です。

面接官からすれば「この受験者は今回のロールプレイでは上手くできなかったが、キャリアコンサルティングにおいて実施すべきこと(重要なこと)は理解できれいるんだな」が確認できれば、十分、及第点を与えてくれます。

※もちろん、ロールプレイが「まったくダメ」では口頭試問で挽回ができなくなる点は注意しましょう。

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