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「vol.14 職人さん100人数珠つなぎ」/森 健持(Kenji Mori)さん/「幻の染物」 辻が花作家

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辻が花(16世紀の室町時代末期から17世紀の江戸時代初期の100年ほど流行した染の着物。江戸時代中期に友禅技法が普及されたのを機に消滅。現存遺品数が300点足らずということもあり、幻の染物と言われている。

現在は、絞り染めにより2色以上の多色を染め分けることにより絵模様を表現する染色技法のことをいう。)
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  森さんは学生時代に大阪体育大学に通い、将来は企業に入り日本リーグのサッカー選手になろうと思っていたそうです。しかし、大学2年生の時、一度は滅びた辻が花を昭和初期に復元させた小倉建亮氏の作品を美術館でみて衝撃を受け、小倉氏にコンタクトを取り、3年生の時には辻が花の世界で生きていこうと覚悟を決め、大学を辞めて小倉建亮氏に弟子入りしました。当時は徒弟制度の残る厳しい修行だったそうですが、11年半の修行期間を経て独立され、現在は家庭画報に取り上げられる人気辻が花作家としてご活躍されています。

1: ものづくりに対する姿勢 //正確に作業し、最初に思い描いた理想に近づける//

 絞り染めを基調とする辻が花は絞った糸を解くまでどんな模様ができているのかわかりません。
色も図柄も一瞬一瞬で違うものになってしまう絞り染めだからこそ、一番初めに理想として思い描いた色と形が出せるように、正確な作業と集中力が必要とされます。
 一つの絞りで花や葉を表現するように糸を括り、地の色などとの配色を考えながら、色で柄を染め分けるといった難しい職人技と大変な手間が求められる技法だけに、「自分の作ったものを好きだ!と言ってくれると何か賞を頂くよりもとても嬉しい。買って頂けるとなお嬉しい。」とおっしゃる森さん。
 作家として森さんの思い描く世界、そしてそれを表現する技に共感してくれるファンの存在が森さんの創作活動の源になっています。
 画像にもあるように、古典的な柄だけでなく、バンド活動もされる森さんだからこそ生まれる楽器の辻が花や楽しそうに佇むユーモラスな貝たちを見ると、まるで海の中のおとぎの国にいるような気持ちにさせてくれます!

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2: Next Acton //インテリアにも辻が花を!//

 40年以上辻が花の美と技を追求され、これまでにたくさん辻が花を着物に描かれてきた森さん。
 今後挑戦したいことは、需要とマッチするものを辻が花で表現したいという想いから、屏風や壁掛け、オブジェ的なしつらえなどインテリアに関係するものを手掛けることだそうです。
 需要がないため辻が花の制作は森さん1代で終わるとのことですが、日常のインテリアとして辻が花を楽しむことができれば、森さんが辻が花の世界に入った時のように、目に触れた時に衝撃を受けて辻が花をやりたい!と思う人が現れるチャンスが出てくるかもしれません。
 まとう辻が花だけでなく、飾る辻が花として、毎日の暮らしもより豊かになると思います。
 森さんのユーモア溢れる辻が花屏風やインテリア製品を創作したい方がいらっしゃいましたら、私まで個人メッセージ頂ければ嬉しいです。
 一点一点手で染め描かれるため、カスタムメイドは構想から3ヶ月ほどかかりますが、上杉謙信、豊臣秀吉、徳川家康ら時代の頂点に立つ武将たちも好んで着用したという唯一無二の辻が花をお楽しみ頂けます!

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