キレイに効くお話9 小建中湯に生薬として使われる 水飴

  四つめは、小建中湯に使われる膠飴(こうい)のお話をしたいと思います。小建中湯の大きな三つの作用以外の補足となりますが、これも大切な生薬のひとつです。漢薬名を膠飴(こうい)と言い、粳米に麦芽を加えて発酵させた麦芽飴です。

 お年をめした方だと、子どもの時に水あめを食べられたことがあると思います。麦芽飴は、滋養強壮にとても良いので、昔の子どものおやつだったんですね。千歳飴も、でんぷんに麦芽を加えた同じような製法でできているようです。最近の千歳飴は、お店によって材料と製法はそれぞれのようですが。

 漢方薬で使われる水あめは、昔のままの材料と製法で作られていますが、安価なものだと、トウモロコシのでんぷんを使っているものもあるそうです。トウモロコシのでんぷんでは、滋養強壮効果が強くはないようです。
最近の食品としての多くの水飴は、昔の水飴のような滋養強壮効果は期待できません。 また、和菓子に使われてる水飴も同様で、砂糖と比べて安価だから使うと聞いたことがあります。

 麦芽糖は、うるち米のでんぷんですので、先の食材に使われる漢方薬のところでお話しした葛のように消化が良いので、消化器に負担をかけずに栄養を取ることができ、おつうじも良くなります。麦芽糖に水素を付加した還元麦芽糖というものもあり、これはでんぷんが大腸で吸収されるように作ってあって、やさしく大腸を刺激するので、マルツエキスとして赤ちゃんの便秘薬に使われています。

 かぜ薬の桂皮湯(けいしとう)に、先のまきの役割をするシャクヤクを倍量にして、この麦芽飴を加えたものが、消化器の弱い子どもの体質改善に使われる小建中湯になります。桂皮湯は、体の表面をめぐらすのと、体の中を補うのが同じ比重ですが、小建中湯は体の中を補うものが、少し多く構成されています。ゆえに、体をゆっくり補ってゆくのですね。よく知ると、漢方薬って面白いです。

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