薬局にて学んだこと24 嫌な刺激を皮ふが処理をする、発疹

 去年の秋くらいから、ワコー薬局に発疹で悩まれる患者さんが多くおみえになりました。気候や世の中の流れの中に、何か発疹を起こさせるものがあるのでしょう。
 
 発疹は、外からのさまざまな刺激に対して、皮ふが反応をした結果だと言えます。たとえば、キキキーというような嫌な音を聞いて鳥肌が立つことがありますね。私たちは、外から刺激を受けると、それを体の内外で何らかの形で処理をしなければいけません。その方法のひとつに皮ふから汗で出す方法があり、それがうまくいかないと発疹という形であらわれます。
 
 その人に合わない青魚や辛いものなどを食べて発疹を出すこともありますが、心の中に発散できない嫌な思いなどをかかえた時に、発疹で気を外に出すことも、内向して重篤な病気を引き起こさないための体の摂理です。人は動物に比べると脳が大きいため、外から受ける刺激も膨大なものとなり、それを処理することも大変です。そのため、皮ふからの刺激の放出のため、汗腺を生かすために人は動物のようには毛がないのです。
 
 漢方薬では、肝を抑えたり発散させたりして発疹を治そうとします。ある全身発疹の患者さんが、ずいぶん治りかかった時にこう言われました。ある時、胸にもやもやと思いが詰まった時に、漢方薬の発散剤を飲んだら、手首から先に一気に発疹が出たそうです。でも、胸のもやもやはそう言えば消えていたとのこと。

 その後に、問題が解決したけれど、今度はうずを巻いたような胸のもやもやがあった。でも解決したので、そのうちそれも取れるだろうと放置しておいたそう。そうしたら、少し時間が立った時に、久しく感じたことがないくらいの胸のすっきり感を味わった、と同時に手首から先に発疹が出たとのことでした。
 
 これは、明らかに気持ちの発散を発疹が代行したということで、体が失っていた発散の道を漢方薬がつけ、今度は薬なしでも体がおこなったということです。

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