薬局にて学んだこと5 受想行識

人の体は、気候や周りの雰囲気に大きく左右されますが、最も強く左右されるのは、その人の精神状態によるものではないかと考えます。これは、お加持をしていても感じることで、人の感情ほど強いものはないのではないでしょうか。

おみえになる患者さんで、こちらで診てて、胸のところで気がつかえて下がらない、という状態の方がよくあります。これは、何か思い悩むことがあり、その解決がつかないか、あるいはそのことに対する、自分の方針を決められない状態をあらわしてします。そのことを本人に告げて、本人に心当たりがあれば良いのですが、その心当たりを全く感じていない方は、次に進むことが少し難しくなります。

次に進むと言うのは、人の感情は気が落ち着く順番があるということです。その心の動きを、わかりやすく順にあらわした言葉が、「般若心経」というお経の中にあります。受想行識(じゅそうぎょうしき)と言います。

受(じゅ)    刺激を受けること、話を聞くこと
想(そう)    想い悩むこと、考えること
行(ぎょう)   行動したり、話をしたり、待つことに決める
識(しき)    結果に満足したり、あきらめること

わかりやすい例として、うちの先生が考えたお話があります。一人の男の子が、少女に恋をしました(受)。男の子は、少女を見て一目惚れをしてしまいます(想)。彼は、彼女に打ち明けるかどうしようか悩みますが、思い切って打ち明けました(行)。「私には婚約者がいます。」と彼女に言われ、あきらめることにしました(識)。
 
この、想の段階が胸に気がつかえた状態です。そして、行で行動をすることによって、はじめて気がヘソ下から足に満ちてゆくのです。ただ、結果に満足することは、簡単なことではないと思います。でも、ほんの小さなことにでも満足できたら、それだけで気持ちが安らかになることでしょう。

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