薬局にて学んだこと8 女性と生あくび

漢方薬の中には、西洋薬には見られない変わったお薬があります。女性のヒステリーのお薬なのですが、眠くない時に出る生あくびが多い時にも合うお薬です。甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)と言います。

そもそも、あくびはなぜ出るのでしょう?あくびは、脳の奥の室膀核というところから司令が来て出るそうなのですが、その原因は、現代医学では、オーバーヒートした脳を冷やすために出すのではないかと言われていますが、漢方医学では、胸にたまった気を放散させるために出していると考えています。

では、あくびが出る時ってどんな時でしょう?眠い時や、眠りから目覚めた時に出ますね。その他にも、退屈な時や疲れている時、立ちくらみや車酔いなどで気分が悪くなる前などにも、生あくびが頻繁に出ることがあります。これは、生あくびをすることによって、胸に鬱滞した気を放散しようとしているのです。ただ、生あくびに伴って吐き気などの症状を出してくる場合は、別の病気を疑わないといけないので、早めに専門家に診てもらわないといけません。

そして、この生あくびは男性よりも女性に圧倒的に多くみられます。よく電車などに乗って見ていると、生あくびをしているのって女性が多いと思われませんか?これは、女性の体のしくみからきていて、胸に鬱滞した気を、足の方に多く下げると子宮が下がってしまうので、胸から放散させようとするためです。

この胸からの気の放散を助ける薬が、冒頭にご紹介した甘麦大棗湯というお薬です。生あくびでは足りない気の放散を助けます。ヒステリーの場合は、抑えるのではなく、しっかり気を出してしまうことで、早く気分を楽にさせようとするのです。
甘麦大棗湯は、肺から気を放散させるために、甘草(かんぞう)という生薬で気を上げておいてから、棗(なつめ)で肺を開きます。棗は、中国では古代より食材として使われていました。そして日本では、薬膳やお菓子の材料で使うことがありますね。

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