薬局にて学んだこと25 発疹を収めると何が起きるか

 先回は、発疹が出たことによって気分がすっきりした、という人のお話しをしました。気分の発散ができないところを、発疹を出すことによって気分の発散を代行したということです。今回はその逆に、皮ふに出ていた発疹を治したら、何が起こったかというお話しをします。
 
 ずいぶん前に、アトピーの発疹を出している女児の患者さんがいまして、顔にまで出てきたので、母親が皮ふ科に連れて行ったそうです。ステロイド剤は希望しないということで、他の塗り薬を出してもらったとのこと。次に母親がワコー薬局に彼女を連れて来た時に、アトピーの発疹はすっかり治っていたのですが、洗面所で手を洗い続けるという強迫性障害を患ってしまっていました。
 
 うちの先生は、母親にすぐに塗り薬をやめるよう指示をし、そうしたら強迫性障害は治ったということでした。アトピーの発疹は出てきましたが。強迫性障害の手を洗い続けるという症状は、手が汚れているのではないかという不安や不快感から、その行為を続けてしまうもので、戸締まりを確認し続けるというものもあります。
 彼女が大人になり知ったのですが、神経質なお譲さんであるため、気持ちの処理ができなくて、アトピーの発疹によって、気を外に出していたのだろうと推測できました。
 
 このように、発疹での気の発散を、塗り薬などで体の中に閉じ込めてしまうと、気の行きところがなくなり強迫性障害を出してくることがあります。また、強迫性障害に限らず、てんかんの発作やぜんそくを起こしてくることもあると聞きます。発散できない気が、皮ふを攻撃するか、脳に異常を起こさせるか、肺に鬱滞するかという違いだけなのです。
 

 もちろん、あまりひどい発疹をそのままにしておきなさいと言っているわけではありません。治療において、気を体の中に閉じ込めないように気をつけるべきだということです。そして、大人でしたら表現系を豊かにすること(泣くことや怒ることも気の発散の一種)や、自分の中の何かを変えるということ、子どもさんでしたらその発散できない気持ちを、母親が理解してあげることも大切です。

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