下記のような投稿がある。

いったい化学物質過敏症の本当の患者数は何人なのだろうか?
昨年2023年(令和5年)に「NHKあさいち」の報道では坂部貢医師が「13人に1人」と言っていた。


政府発表の患者数

e-Statという政府統計の総合窓口というサイトの中に患者調査のデータがある。「患者調査は、病院及び診療所(以下「医療施設」という。)を利用する患者について、その属性、入院・来院時の状況及び傷病名等の実態を明らかにし、併せて地域別患者数を推計することにより、医療行政の基礎資料を得ることを目的とし、3年に1回実施している。
 患者調査では、傷病分類別の患者数(外来・入院、都道府県別)受療率(外来・入院、都道府県別)等の結果を提供しています。」と書かれている。※傷病とは「保険病名がついている傷病」のことである。

化学物質過敏症という保険病名は、ICD10の中のT659毒作用;詳細不明の物質の毒作用の中にある。T659の中には次の5つの保険病名が含まれている


20093547 化学物質過敏症

20068403 全身中毒症

20070601 中毒

20072124 毒物誤飲

20083789 服毒自殺未遂


統計データは上記5つの合算である。1000人単位で表されていて、四捨五入の処理である。


患者調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
(e-stat.go.jp)





2020年令和2年


<https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00
450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001166809&tclass2=000001166811&
tclass3=000001166812&tclass4=000001166814&tclass5val=0> 患者調査 令和2年患者調査 確定数 全国編 閲覧(報告書非掲載表) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
 


119 総患者数、傷病基本分類別

T659  その他及び詳細不明の物質の毒作用 詳細不明の物質の毒作用

患者数 0(0人〜499人)


2017年平成29年


<https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00
450022&tstat=000001031167&cycle=7&year=20170&tclass1=000001124800&tclass2=00
0001124803&tclass3val=0&metadata=1&data=1> 患者調査 平成29年患者調査 閲覧(報告書非掲載表) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)


95 総患者数、傷病基本分類別

T659  その他及び詳細不明の物質の毒作用 詳細不明の物質の毒作用

患者数 0(0人〜499人)


2014年平成26年


<https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00
450022&tstat=000001031167&cycle=7&year=20140&tclass1=000001077497&tclass2=00
0001077500&cycle_facet=cycle&tclass3val=0&metadata=1&data=1> 患者調査 平成26年患者調査 閲覧(報告書非掲載表) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)


96 総患者数、傷病基本分類別

T659  その他及び詳細不明の物質の毒作用 詳細不明の物質の毒作用

患者数 1000人(500人〜1499人)


2011年平成23年


<https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00
450022&tstat=000001031167&cycle=7&year=20110&tclass1=000001055880&tclass2=00
0001055883&cycle_facet=cycle&tclass3val=0&metadata=1&data=1> 患者調査 平成23年患者調査 閲覧(報告書非掲載表) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)


97 総患者数、傷病基本分類別 

T659  その他及び詳細不明の物質の毒作用 詳細不明の物質の毒作用

患者数 1000人(500人〜1499人)


舩越典子医師による解説



化学物質過敏症は、2009年平成21年に医療保険の収載病名となった。よって、2011年平成23年分以前には、政府の統計の中に化学物質過敏症の患者数(外来・入院、都道府県別)は出てこない。

ここで報告されている患者数は5つの保険病名の合算されたものである。ご覧になって分かることは、患者数は増えているどころかむしろ減っている。

この統計が示している患者数というのは、【主病名が「化学物質過敏症という保険病名」で出されたレセプト】を元に集計されているもので、「主病名」とは、患者さんが受診された際に最も重要だと思われる病名一つに対して付けられるものである。他の病名を主病名にした場合は反映されない。自費診療のみ行っている医療機関へ受診したとしても患者数には反映されない。

また、保険医ではない自費診療を行っている医師により、多くの障害年金診断書が発行されているのは問題である。税金を使う限り、保険医による診断書を用いるべきではないか。

香害運動の活動家・化学物質過敏症支援センター・日本臨床環境医学会が出している「13人に1人」とはかけ離れた数字で驚きである。【アンケート結果のみをベースとして書かれた論文や資料】が信頼できるものか再検討する必要がありそうだ。

洗剤や柔軟剤に含まれる抗菌成分や殺虫剤などによる健康被害が出ている事は確かである。様々な原因疾患(持病)により症状が出現するため、治療を必要としている。私は「柔軟剤さえなければ治療する必要はない」と言っている活動家たちの意見に疑問を持っている。

当院では有害物質を避けることを指導した上での薬物治療を行っている(もうすでに治療が効いて元気になってきている人もいる)。

しかしながら、他人が使用しているものに対しては面と向かって「臭い」・「柔軟剤を使うのをやめて下さい」・「この洗剤を使って下さい」などと発言することは禁止している。なぜならば、そのような行為が治りを悪くするだけでなく社会的な摩擦を引き起こし孤立を招くからだ。

「受診していない自称の患者さん達」や「薬を飲みたくないなど、治療を希望しない患者さん達」による啓蒙活動は、逆効果なのではないかと懸念している。「避けるしかない」・「治療法が無い病気だから」という理由では受け入れてもらえないのが現実である。

環境問題として有害物質を無くしていく要望を出すためには、正確な患者数・病気の程度・治療内容等を国やメーカーに提示できなければならない。したがって具合が悪いならば、保険診療を受けることが絶対条件である。受診しないという事は、医者にかかる程ではない軽症とみなされてしまう。

私は「特定の人達に、ある物質がよくない」と働きかけるのではなく、化学物質過敏症であろうが健康な人だろうが、「全ての人に関わる中毒の概念から有害性を主張する方法を模索することが肝要」かと考えている。


このような冤罪は誰に身にも起こります。信頼すべき医師が診断書を悪用し捏造を生み出し、弁護士が提訴する。今後この様な事の起こさぬよう私達は闘います。本人訴訟ではなく弁護士と共に闘っていくため、カンパをお願いします(note経由で専用口座に振込み)。ご理解の程よろしくお願い致します。