128、日刊ゲンダイ~2021年(令和3年)4月27日号

■受動喫煙訴訟 日本禁煙学会理事長が刑事告発された顛末
(下記、日刊ゲンダイDIGITALより転載)
 3月29日、厚生労働省の記者クラブで注目の会見が開かれた。首都圏在住の7人の告発人が、一般社団法人・日本禁煙学会の作田学理事長を虚偽診断書行使罪で東京地検特捜部に刑事告発することを知らせる内容で、会見には4人が出席した。その後、告発先は神奈川県警青葉署に変更され、3月31日に告発状が提出された。
 いったい、どういうことか。まずは経緯を簡単に説明しよう。コトの発端は横浜市内在住のA家族が、同じマンションに住むミュージシャンのB氏に対し、受動喫煙で健康被害を受けたなどとして約4500万円もの損害賠償を求める訴訟を2017年11月、横浜地裁に起こしたことだ。
 この裁判では原告A家族の3人(A、A妻、A娘)が、B氏の喫煙による受動喫煙で健康被害を受けたと主張した。
 しかし、横浜地裁は「本件全証拠によっても、原告らの体調不良ないし健康被害がたばこの副流煙によって生じたと認めることはできない」などとして、2019年11月28日、原告の請求を棄却した。その後の控訴審(東京高裁)でも「控訴人らの本件各請求は理由がない」として、2020年10月29日の判決で控訴を棄却した。
 問題は、横浜地裁が判決文で<作田医師は、原告(A娘)について、「受動喫煙症レベルⅣ、化学物質過敏症」と診断しているが、その診断は原告(A娘)を直接診断することなく行われたものであって、医師法20条に違反するものと言わざるを得ず>と指摘した点だ。
 こうした経緯があり、今回の告発に至った。
 作田医師が、診察をせずに作成した診断書名目の文書を原告らが訴訟のために使用することを知りながら交付し、原告らに証拠として提出させたとして、虚偽診断書行使罪で告発したのである。
 今回、刑事告発に踏み切った理由として、告発人側はこう訴えている。
 「作田医師が交付した診断書の内容は、診察をしないという医師法違反の行為により作成されただけでなく、自らが理事長を務めている日本禁煙学会が推進している喫煙撲滅運動の政策目的に合わせて作成された、医学的な根拠を欠くものと言わざるを得ません」
 「診断書が原因でこのような事件に至ったわけですから、それは同時に医療そのもの、とりわけ診断書に対する社会的信用を大きく失墜させるものです。厳しく断罪されるべきものです」
 さらに、控訴審で東京高裁が<他の診断書を見た上での専門家としての参考意見>と指摘した作田医師の“診断書”の使用目的についても言及している。
 「作田医師が作成した問題の診断書が、高額訴訟に悪用されたことを問題視しています。近年社会問題となっている弱者に対するスラップ訴訟の再発防止という観点から、作田医師の責任を明確にする意味で刑事告発に踏み切りました」
 捜査当局はどう対応するのか。行き過ぎた受動喫煙裁判の裏側に潜む事実が徹底的に究明されることを望みたい。

このような冤罪は誰に身にも起こります。信頼すべき医師が診断書を悪用し捏造を生み出し、弁護士が提訴する。今後この様な事の起こさぬよう私達は闘います。本人訴訟ではなく弁護士と共に闘っていくため、カンパをお願いします(note経由で専用口座に振込み)。ご理解の程よろしくお願い致します。