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よく道を聞かれる人

道を聞かれる

きのう、スーパーに行く途中に
向かいから歩いてきた75歳ぐらいの女性に、声をかけられた。

こざっぱりとした身なりで白髪。
小さなポシェットを肩から下げている。

「K医院はどこでしょう」

K医院は、ここから道を3本通り越し、左に曲がったところだ。

「遠くの左側に、青い看板が見えますか?
あの看板を通り越して
えーと(スマホでグーグルマップを確認しながら)
その次の道を左に」

と説明しかけて・・・・

やめた。

そのおばあさん(と、ここでは呼ぶ)は
私の言葉に「はい、はい」とうなずいている。

まばたきの回数が多い。
うなずきつつも、目がパチパチしているのだ。

母の付き添いで
受診したときを思い出した。

先生の話を、母はウンウンとうなずきながら聞いている。
わかりました、と返事もしている。

でもあとで聞いてみると
内容を半分も理解していなかった。
「早口でなにを言っているのかわからない」
その場を取りつくろうためにうなずいていたのだ。

その時の母と似たような表情をしているおばあさん。
説明がわかっていない。
そう確信した。

いっしょに行きましょう

あつこ「ええと、いっしょに行きましょう」(と言って歩き出す)

おばあさん「いいんですか?どちらかに行かれる途中だったんでしょ」

あつこ「いえ、大丈夫ですよ」

おばあさんのせわしいまたたきが止まった。

あつこ「ワクチン接種ですか」
気持ちがほぐれるように話をする。

おばあさん「そうなんです、ちょうどここしか空いてなくて」

話が続く。

「以前、車でこのあたりを通りかかったことがあって
K医院の大きな看板を見たんですよ。
だから、大丈夫だと思って。

駅を降りて歩いて来たんですけど、迷っちゃって」

駅から歩いてきたのなら
とっくにK医院にたどり着いているはず。
目的地を通り越して歩き続けてしまったのだ。

「ずいぶん歩いても見つからないので。
ついあなたに声をかけてしまったの。

ごめんなさいね
なんだかこんな世の中でしょ。
ワクチンを打つのも、 
いちいち子供に頼れないし。

まあできることは自分でやらなくちゃね」

話が途切れなく続く。

角を曲がって、K医院の看板が見えてきた。

あつこ「あの看板のところです」

おばあさん「まあ、本当だわ。
知らずに通り過ぎちゃったのね。
ごめんなさいね、手間をかけさせて。
ありがとうございます」

あつこ「いえいえ、困った時はお互い様です。
それでは、お気をつけて」

その瞬間、おばあさんは気をつけの姿勢をした。
そして私に向かってふかぶかと頭を下げたのである。

言葉はなかった。

感謝していることが、頭の角度からわかった。
90度。
私も思わずふかぶかと頭を下げた 。

お互いに頭を下げている時間、3秒間ぐらい。

来た道を戻る私の足は軽かった。

スーパーで食料品を買ってダッシュで戻らなきゃ。

急げ急げ。ニコニコしながら半分小走り。
あれ?なんでわたし走ってるの?

良かったな。うん!

道を聞かれる人の特徴

「何で道を聞かれやすいのかしら」と家族に聞いてみる。

娘のはるちゃん
「ママは人畜無害に見えるからじゃない」

人畜無害。良い意味でも悪い意味とも取れる。
あまりうれしくない。

理科系オット「見かけはやさしそうで、この人なら答えてもらえるって思われるんじゃない」

見かけは、って何?

理科系オット「おばあさんは、やさしく教えてくれそうな人を探していたのでしょう。
道を聞いて、相手に迷惑そうな顔をされたら嫌だよね。
場所がわからなくて不安な気持ちなのに、さらに心が傷つくでしょ」

なるほど、
怖そうな、その筋のお兄さんと
丸い見かけのあつこ。

この2人がいれば、みんなあつこに聞いてきますよね。

道をきかれやすい人の条件

・やさしそうに見える
・ちゃんと教えてくれそうだ、という雰囲気がある
・親しみやすそうなオーラを出している

「道を聞かれやすい」は「信頼できそうな人」と同じ。
出来る範囲で困ってる人を助けたいし。こんな時代だから。

うん!自信持とう、弱虫のわたし。

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