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朝起きたらキッチンでおわんが「あらよっと」していた

このnoteは「わたしだけかもしれないレア体験」に応募するために
リライトしたものです。

「おはよう!」と声をかけてキッチンに入ると。

そこで朝ごはんの用意をしているのは
・・・・・
わが夫。

「おはよう」とあいさつを返しつつ
サラダの盛り付けをしている理科系夫。

ふとクッキングヒーターに目をやって
固まりました。

みそ汁の
お椀が
出初式をやっていたのです。

二度見しました。
いやいやいや・・・・ 

しかもジップロックまで。
思わず吹き出してしまいます。

「なんなの、これ!」

次の日の朝も
その次の日の朝も
その次の次の日の朝も

お椀は出初式をやっています
「あらよっと」 
そんな声が脳内に聞こえてくるのです。

ーーーーーーー
理科系夫が主夫になったのは
3年半前の8月。

定年後の継続雇用を
自らの意志で断りました。
ちょうど次女が家を出たタイミングです。 

現金収入のために
妻の私がフルタイムで働くように。
自然と家の中のことは夫がこなすようになりました。
無論うまくいくはずもなく。
家事なんて何もしたことなかったし。 

ところが
根から理科系の夫のこと。
私が考えもしない方法で
家事をやるようになりました。

彼のスローガンは
「日常は実験だ」
(芸術は爆発だ、のノリで)

ーーーーーーー

あつこ「もう、いったい、これはなんなの?」

理科系夫は大まじめ。
「なにって、みそ汁作ってる」

あつこ「なんで毎朝、おわんが出初式やってるの?」

理科系夫「すべてを計り、考えなくても同じものができるようにする」

あつこ「はあ?」

理科系夫「ここまでくるのに2か月かかったよ」

あつこ(そういえば、おみそ汁がからかったり
薄かったりしてたな)

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理科系夫の「みそ汁作りをルーチン化せよ」


スケールに片手鍋、お椀、小ジップロックをのせる

理科系オット「この状態で表示をゼロにする」

おわんとジップロックに具を入れる


理科系オット「今日はサツマイモとネギ、
サツマイモの下にわかめも入っている」

具と水で610gにする

理科系オット「我が家の定量は、具と水で合計610g
これは3人前だ(夫婦2人+仏さまにあげる分)」

あつこ「具が違っても610gでいいの?」

理科系夫「野菜なんてほとんど水分なんだから、それでいい。
フリーズドライの野菜が、
あれほど軽いの思えば分かるでしょう」

あつこ(偉そうに・・・・・)

水を入れて


だしの素を量る(4g)

理科系オット「これが、我が家で使っている『だし』だし」
あつこ「・・・・・・・」
寒いギャグはスルー。

だし4gを入れる

みそを量る

理科系オット「みそ用のスプーンをのせて目盛りゼロにする。
なぜこのスプーンにしたかというと
台に置くときに転がりにくい形だったから」

理科系オット「みそは27g。
濃い、薄いという毎日の味のフィードバックから得られた数値」


沸騰しただし汁に具を入れる

理科系オット「芋の厚さはこのくらいじゃないと煮えるのに時間がかかる。これもフィードバックから学んだ」

理科系オット「わかめを入れて」

理科系オット「ひと煮立ちしたらネギを入れる」


煮る(5分〜7分が目安)

理科系オット「ふたをして」

アップルウオッチで計測

理科系オット「具を煮る時間はだいたい5分以上。
合わせて、横で朝のサラダを作っている」

出来上がり直前にみそを溶く

理科系オット「直前にていねいにみそを溶く。風味が違う」

理科系オット「完成。ちょうどサラダも出来上がった」

理科系オット「サツマイモも崩れてないし、ちょうどいい感じ」

理科系オット「じゃあ座ってごはんにしよう」

あつこ「仏さまにもあげたし・・。
わあ、おいしそう。秋だね」
(ここは全力でホメるところ)

2人「いただきます」
あつこはこのあと出社します。

お芋がほくほく


「ルーチン化」の力

あつこ「どうしてこんな方法で作っているの」

理科系夫「 それはね・・・」

・具沢山のみそ汁がぴったりの量でできる
・塩からい、薄いなど味の失敗がない
(経験をフィードバックして数字を 決めていった結果)

理科系オット「味見はしていないけど、うまくいってるでしょ」

あつこは何となく面白くない・・。

たしかにあつこのみそ汁はからすぎてお湯を入れたり、
薄くてみそを足したり、その場で調整しているから。

理科系夫「ボクはルーチン化の力を使っている」

あつこ「なんですか?それは」

朝早くのみそ汁作りがつらい時がある
(夜更かしのあと、外出で夜遅い帰宅)

ルーチンで「自分がやることだ」と決めていれば
やりたくなくても、取り掛かれる

心を無にして手を動かす
(なにをするか判断しなくて良い)

理科系オット「結果、自分へのストレスを減らすことができる。
そうすれば、あつこも気持ちよく出社できるでしょ」

あつこ「・・・・・。
なんだかきれいにまとめられた気がするけど」

理科系夫がそれなりにストレスを感じながら
家事をこなしていく姿が見えたから。

理科系夫「こうやって
2人で朝ごはんを食べていきたいから。

さりげない日常の幸せを大事にしたい」

ーーーーーー
だから、
我が家のキッチンでは
毎朝こんな光景が見られるのです。

あらよっと


当たり前の日常
そして人生の終盤に向かっていく
おみそ汁です。

きっと最後まで頑張れます・・・よね、ね、ね!

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