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まさかの算数(後編)

まさかの算数(前編)
九九の登場でますますあゆみが鈍くなる娘の算数。あせる私。

救いなのは、娘自身は全くあせる様子がないこと。学校で周りのお友だちがみんな九九の表を全部クリアしても、自分は自分。全く気にしていませんでした。それを見て、すごいなあと感心。私だったら絶対あせる。できないのはいけないって思ってしまう、と。

そこで、ハッとしました。そうだ!できないのはいけない、みんなと同じ速さで覚えなければいけないっていうのは、私自身の思い込みではないか。娘は頑張っている。みんなより遅くても、覚えようとしている。それでいいじゃないか。私はなぜ焦っているんだろう、、もしかしてそれは、娘ができないのは自分のせいだと思い込んでいるからじゃないかな、自分のせいだと思われたくないからじゃないか、、自分が今目の前の娘に対して抱いている焦りや苛立ちや心配、それを見つめて考えていくと、だんだん自分の子どもの頃へと繋がっていくようでした。

私は子どもの頃、優秀な父から勉強を教えられました。でも、父の教え方は”このようにやれ”というもの。やり方が決まっていて、それに沿ってやらないといけない。それで算数が大嫌いになりました。ただやり方を押し付けられるのは嫌でした。パパ塾という勉強の時間が大嫌いで、泣いて嫌がった記憶もあります。私は小学校に入った時に少し勉強ができたので、それで父が喜んでもっと教えようとしたんですね。教えるって、本当によくよく考えてやらないと全くの逆効果です。

算数の楽しさなんて全く知らなかった私。むしろ敵視さえしていた私。大人になって、美術をやるようになって、色々な作品を観るようになって、数学にはきっと美術と同じような美しさがあったに違いないと感じるようにはなりましたが、やってこなかったんだから具体的には分かりませんでした。

さて、そんな自分の記憶を掘り下げながら、では目の前の娘の分かりたいという気持ちに答えるのに、私はどうしたらいいのかなあと考えました。九九って、ただ覚えるしかないのかな。

その時、思い出しました。シュタイナー教育の九九の星!

娘はシュタイナー園でしたので、小学校も本当は私はシュタイナー学校に入れたかったので色々調べてはいたのです。シュタイナー学校と言えば、九九の星ではないですか(笑)

更にちょうどその時、募集していたのです。シュタイナー算数教員養成講座。正直一瞬だけ、私が算数?と自分でも思いましたが、その時は娘の算数のことで必死だったので、完全に娘のため、迷わず申し込みました。

それまでにも、シュタイナー教育の美術の講座を探してはいました。通ったりもしましたが続きませんでした。どうしても子育てしながらのスケジュールと合わない。どれもうまくいかなかったのです。でも、この算数教員養成講座だけは無理なくできそうなスケジュール内容。奇跡のようでした。

そして蓋を開けてみたら、娘のためにと思ったこの算数教員養成講座が実は先ほど挙げたような、私の中の子どもの頃の私を癒すことにまでなる、素晴らしい体験になりました。

娘の九九も、私が算数の講座で得たものをすぐに娘に還元し、お手玉を使ったり、リズムを使ったり、身体で動いたり、美しく九九の星を描いたり、、ゆっくりゆっくり一緒にやって覚えていきました。

当初私が抱いた”九九ってただ覚えるしかないのかなあ”という疑問には、はっきりと答えが出せました。反復して覚えることも必要なことではあるけれど、でも、ただ単に覚えるだけじゃない。そこにあるリズムや法則、美しさを感じながら身体で覚えていくことができる。ああ、こうやって私も算数を学びたかった。本当に心からそう思いました。

九九の表、クラスのお友だちはみんな1学期に九の段まで全部クリアしていました。娘は3学期になってやっと、全部クリア!最後はクラス全員が拍手して、おめでとう!と言ってくれたそうで、とても喜んでいました。
最後まで、娘は自分が遅いことは気にしていませんでした。それにクラスで最後、つまりビリだったのに、みんなに祝ってもらうという成功体験で終わったなんて、むしろ遅くてよかったというか、、すごいなあ。と感心しました。

ともかく、私のように算数を嫌いにはならなかった。それだけで、本当に良かったのです。

その後、結局娘をシュタイナー学校に通わせることになったりもするのですが、、
私の学びは続きました。算数教員養成講座を終えて、まだまだ学びを続けています。まさかの算数。私が大嫌いだった算数に、こんなに夢中になるなんて。
でも、算数も美術と同じなんです。奥深い。そう思わせてくれた算数教員養成講座の先生、そしてシュタイナー教育に感謝しています。

後編は長くなってしまいました。
また算数や美術の色々な話は別の記事で。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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