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術後はじめて傷口を見るときのドキドキ。

20年ぶりに、入院した。
入退院の多い10代〜20代だった。

もう、入院する事はないだろう。
と言うか
もう入院なんてしたくない。

という気持ちがいつもあった。

しかし、定期的に主治医に会い、採血やその他の検査結果を見るたびに幾度となく

『このままでいいのか?』

という気持ちが心をよぎっていた。

耐えがたい痛みこそないものの、慢性的に炎症は続いており、栄養状態も悪く、疲れやすく、精神状態も不安定でアップダウンが激しく、そんな自分に嫌気がさしていた。

もっときちんと前を向きたい。
出来ることがあるならば、きちんと向き合って改善していきたい。と何処かで思っていた。

でも、

「そんなこと言っても、この病気である以上仕方ない。」

と半ば諦めていた。

わたしは難病と言われるクローン病だ。

もう発症して30年になる。

痛みも身体の一部。とばかりに我慢して過ごしてきた。

ここ、2年ほどもそうだ。

『仕方ない、だってクローンなんだもん。』

いつもそう思って諦めてきた。

以前から、主治医に

「手術という選択肢もあるよ。」

と言われてきたが、そのとき何をひねくれていたのか

「点数稼ぎじゃん。」

と思っていた。

でも、ある時いつものように主治医に
「手術してみたら、きっと楽になるよ。」

と言われて何故かその時、

「そっか、手術しよう。」

とふと思った。

その日に手術を決め、予約をし、手続きを済ませて帰宅した。

未だに自分で何がきっかけだったのか分からない。

きっとたくさんのことが重なって、GOサインが出たのだと思う。

今回の手術は痔瘻根治術。

おそらく20年ほど私のお尻にあった瘻孔。

以前は、複雑な瘻孔だから手術は無理。と言われていた。

その言葉を信じて痛くても対症療法で何とか
共に歩んできたのに、他の医師に聞けば

「全く問題ない。」
という。

えっ?なに?
何の違い?

でも、もうそんな事はどうでもいい。

今、手術をするタイミングですよ。というだけの事だったんだ。

わたしの痔瘻は、仙骨の辺りから直腸まで繋がっていた。

わたしには仙骨の辺りに穴が空いていて、腫れ上がりそこから常に膿が出て痛む。

ということしか分からなかった。

手術してはじめて、直腸まで繋がっていると知った。

だから、傷がものすごく深く、広い。

毎回のことだが術後はじめて傷口を見るときは勇気がいる。

翌日のシャワーの時に鏡を見た。

10㎝ほど斜めに切ってある。
ひー!

3日目くらいに、ナースに写真を撮ってもらった。

お尻の肉を寄せてもらい、しっかり傷口をちゃん開いて撮ってもらった。

ナニコレ⁉︎
皮膚の断面ってこんなになってるの?
こんなにたくさん切ったとこ、誰かに見せたい!!
誰かに頑張った。って言ってもらいたい笑笑。

4日目、自分でそーっとお尻の肉を寄せて鏡を見ると、写真で撮りきれなかった奥の方が見えた。

ブラックホールのように奥まで切り取られている。

ぎゃー!
ナニコレ!
えっ?
これ、合ってるの?
ちゃんと閉じるの?

ぐるぐる頭を色々な考えがよぎる。

怖い。怖い。

痔瘻の手術はレーザーで切除するので、自然にお肉が盛ってくるのを待つしかない。

予想外の傷口の長さと深さに、驚いた。

「切る前に言ってよ。」

と思ったが、事前に聞いていたら手術まで怖くて平常心でいられなかっただろう。

術後12日経過したが、やっと少しずつゆっくり動けるようになった。

術後4日で退院したが、あまりの痛みに昨日までほぼ寝たきりだった。

多分、人生生きてきた中で1番辛い痛みだった。

多分というのは、人は痛みを忘れるから。

あんなに痛かったはずなのに、次の日にはそんなに痛かったっけ?

と思う。

今はこれだけ辛い痛みを味わったから、
あとは良くなるしかない!!
と願い、祈るばかりである。








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