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«分析» 20/21 UCL 6節 Leipzig vs Man United 4ブロック+1

 こんにちは。Atsudです。今回は20-21チャンピオンズリーグのグループステージ最終節、マンU戦でライプツィヒが見せたハイプレスに着目した分析を書きます。また、この試合はUEFAtvで無料で公開されているので是非見ながらor見た後にこの分析を読んでみてください。

 では、先ず分析をどうぞ。

ラインナップ

  両チーム、3バックを基本としたシステムを選択した。もちろんホームチームの指揮官がナーゲルスマンであることを考慮すれば下の図は基本形でしかなく、局面によって最適な可変やポジションの入れ替えが行われることは間違いない。スールシャールがいつもの4バックではなく、3バックにしたのもこのためだろう。メンバーを見れば、必要に応じて2バックにも3バックにも4バックにも5バックにもシステム変更できることが分かる。


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ライプツィヒのハイプレス:4ブロック+1

 ここから本題に入る。ライプツィヒは相手のビルドアップの局面で興味深いハイプレスを行った。それはよくデザインされた美しい方法だった。4ブロック+1、この言い方が最適なのかは分からないが、自分の中ではしっくりきている。先ず、4ブロックというのは前線のForsberg,Olmo,Nkunku,Sabitzerで構成される。この4人がマンUの3バック+2ピボットにパスコースを切りながらプレスを掛けてワイドレーンに誘導する。次に+1はサイドに誘導した後で重要な存在となる。HaidaraとAngelinoはボールが自分のサイドに流れてきたら両WBを潰しに行き、自分のサイドから離れたらすぐに最終ラインに戻る。さらに守備全体の話をすればスールシャール政権のマンUの象徴となりつつあるB.FernandesにはアンカーのKamplがマンマークで付いていたのも特徴的であった。このやり方によってマンUはビルドアップを上手くできずに中盤でボールを奪われカウンターを食らっていた。

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 一見ありきたりな方法に見えるかもしれないがこのやり方は少し変わっている。特にWBの動きだ。上のイメージでは左のAngelino。ボールが右に流れてもサイドチェンジ時に対応できるようにもう少し高い位置で待機するのが普通だが、完全に最終ラインの一員となる。これは右のHaidaraに関しても同様。ではなぜこの形を実現させられるのか、そしてこうすることのメリットを考察する。先ず、なぜ実現できるのか。これは4ブロックのおかげと言える。彼らは激しい運動量と高い認知力でパスコースを切りながら相手にストレスを加えることで誘導した側のサイドで勝負させことができる。すなわち容易にはサイドチェンジさせないということだ。したがって逆サイドのWBは思い切って戻る、という選択肢を選ぶことができる。そしてこの方法によって得られるメリットは、前線に人数をかけることなくハイプレスを掛けられるということだ。そしてそれは自陣で6vs4の完全な数的優位を生み出すことができるということを意味する。こうすることで最終ラインのDFは、自由に動き回るB.Fernandesにボールが入った際に前に出ることでKamplと2人で挟み込め、縦に動いてボールを引き出そうとする相手の策に対しても容易に対処できる。もちろんこの戦術は両WBの運動量が欠かせない。

 太字で示したところについては説明が抽象的過ぎるので、実際の試合画面を見ながらもう少しこの守備戦術を深掘りしてみたい。

①相手の選択肢を減らす4ブロックの守り方

  4ブロック+1は5:00、10:45、13:20、16:40、20:45、30:20で確認で  た。上手く行かなかったものもあればハマった場面もあるが、ここでは10:45のシーンをピックアップする。

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 マンUはビルドアップ時、ボールが左サイドに流れたらTellesが高いポジションを取りShawがLSBを務める形をとったため左サイドでの攻撃が主となった。OlmoはMatucをカバーシャドウ、ForsbergはLindelofをチェック、NkunkuはMcTominayに付き、SabitzerはShawを見ながらハーフスペースで構える。この時点で画面の右下に半分だけ写っているAngelinoはRWGのGreenwoodをマークしている。この時点でパスコースは1つしかないことが分かる。

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 Shawにパスが出されると上の図のように激しい運動量でShawのパスコースと視野を限定することでまたもや選択肢は前方に広がるスペースに限定されてしまった。一方でNkunkuはすでに次なるカウンターに備えたポジショニングをとっていることも分かる。この時点でハイプレスの目的であるミドルゾーン(映像から見てピッチを縦に3分割した真ん中そゾーン)への誘導に成功している。ここまでが4ブロックの最初の仕事だ。

4ブロック+1のメリット

 追い込んだ後の作業は相手からボールを奪い取り、浮いたNkunku経由のカウンターor奪い取ったサイドでのそのままカウンターをすることである。ボール非保持の局面でのミッションを完了させる段階においてこのシステムのメリットが明確になる。実はここで4人でハイプレスを掛けるデメリットが出てしまっている。Maticが完全に浮いてしまっているのだ。理由としては単純に人数が足りない。普通であれば最初の段階でNkunkuがMcTominayにしたように誰かがMaticの後ろに付くのが1番の良い。しかし、ここでリスクを冒すことでマンUの特徴を消すことに成功しているのだ。

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 上の図にあるように追い詰められたShawを助けるべく下りてくるRashfordに対してMukieleが対処。しかしながらここではMaticが浮いているためにここでレイオフが成立してしまう。普通ならここで赤い矢印のパスコースがMaticには見えているが先ずTellesへのパスコースはKamplが防ぐ。このパスは決して入れさせてはならない。(なぜならKonateのスライドでマークはできるがペナルティエリア内にボールを入れられる可能性は高いからだ。)KamplはB.Fernandesを見る役だったので、ここでフリーになってしまう。

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 結果はどうだっただろうか。もっとも危ないTellesへのスルーパスは防ぎ、B.Fernandesにパスは入ったがOrbanのプレスとNkunkuのプレスバックによってボールの前進を防ぎ、最終的にはボールを自分たちのものにすることができた。では、Orbanはなぜ躊躇なく縦の移動をできたのか。画面の右下にはGreenwoodが幅をとって準備している。それはAngelinoの存在だ。彼はMaguireがボールを持っていた時から本来のマーク相手Wan-Bissakaから離れ、最終ラインの一員になっていた。3CBのうち2人が前に出て行っても安全な状況が常に作られていた。守備側である自らが走る状況を作り出し、ハーフスペースとマンUを相手にするときに最も厄介なB.Fernandesをしっかり消せる戦術は美しかった。コーチングスタッフのアイディアとそれを生かすためにハードワークする選手たちに興奮させてもらった。


感想 

 以上が分析となります。ナーゲルスマンを尊敬しながらもブンデスリーガを見れないので普段どのような戦術を使っているのかが分からないですが、僕からは斬新に見えたしとても興奮しました。この試合の3日前にあったバイエルンとの直接対決を前にした会見でナーゲルスマンはバイエルン戦よりもマンU戦のことを考えてると発言しましたが、その発言通りよく考えられた策で、特に前半は圧倒していたと思います。

 3点先取したライプツィヒでしたが80分のB.FernandesのPK、82分のKonateのオウンゴールなど、終盤マンUに追い詰められました。後半はシュート3本のライプツィヒに対してマンUは14本のシュートを打ちました。状況的にもマンUが攻め込まないといけない立場だったので赤い悪魔の意地を見ることができたのも楽しかったです。試合中色んなポイントがありましたがやはり攻め込まれだしてからの69分、Kluivertの3点目が大きかったと思います。日本も経験した魔の2点差から抜け出すゴールは重要でした。

 そして、決勝トーナメント最初の相手はなんとリバプールとなりました。PL初ゴールを決め上り調子の南野選手の活躍を含めて楽しみです。UEFAtvで放送してくれたらいいなと願っています。

 初めてのブログ投稿&文章力皆無なので所々おかしい点、読みにくい点などあったかと思いますが、お許しください(笑)。僕の分析に感想や反論などなどありましたらコメントか何かで知らせてくれると嬉しいです。


 


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