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野花の色

小学一年のある日、学童保育所で絵を描くことになった。くすんだピンクがかわいい野花を選ぶ。スケッチをして、色を塗るだんになって、わたしの手は止まってしまった。

小学校にあがる前は、赤いクレヨンがちびてしまうまでサツマイモの形に塗りつぶせば、うまいうまいと褒めてもらえたけれど。
水彩絵具で、目の前の野花のピンクをどう出せばいいのか、見当もつかない。

ピンク色の絵具は手元にない。
しかも、この花の色はくすんでいて変化のあるピンクだ。
この色が出せない。
絵具を混ぜることは思いつかなかった。
どうやって色を作ればいいのかわからなくて、ただ呆然としていた。
とうとう完成することはできなかった。


この野花を道ばたで見かけるたびに、動けなくなったことを思い出す。
パレットに赤と白とすこし黒をいれて、といつも想像してみる。
そして頭の中でもやっぱり色が作れない。

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