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JANコードなき本を買えり電卓を打つ店員にクレジットカード



#短歌

JANコードって、商品についているバーコードのこと。

河野裕子さんの歌集を買うときのこと。店員が本の後ろを見て、バーコードがないことを確認し、電卓を打ち始めた。おそらく消費税の計算。それで支払額が分かり、自分はクレジットカードで支払いをした。

それだけのことなんだけど、電卓を打つのが新鮮に見えた。また電卓を打っている人にクレジットカードを渡す自分も新鮮だった。

電卓をわざわざ打ってくれたのに支払いが楽なカードで払うなんて、店員の手間と客の手間が全く釣り合わないなって。

その印象が忘れられなくて、短歌にしようと思い、エイッて作った。



ここからは推敲メモ。

最初は

JANコードない本を買えり電卓を打つ店員にカードを渡す


だった。いいのだけど、最近文語表現に甘えてる気がして「買えり」を「買う」にしようと思った。


JANコードない本を買う電卓を打つ店員にカードを渡す

となった途端、すごく平凡に見えた。ただの文章になった。その原因は「買う」といった後「渡す」と終止形で止めてるからだ。結句を体言止め(名詞で終わる形)にしないと歌にならないなって思った。

「渡す」と言わなくても、「店員にカード」だけでも伝わるのではと思った。じゃあちゃんと「クレジットカード」って言おうって。するとこうなる

JANコードない本を買う電卓を打つ店員にクレジットカード


悪くない。でも今度は「買う」は文語の「買えり」がいい気がしてきた。じゃあ「ない」も「なき」にしようかと思った。

JANコードなき本を買えり電卓を打つ店員にクレジットカード


うーんどうだろう。とりあえずこれを完成とする。

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