ビフォアサンセットを観た

なんだか未来のためにばかり生きるのが嫌になって仕事を辞めたのはちょうど一年前のことだった。
次の目的地にできるだけ早く到着する特急列車を降りて、遊覧船、ゆっくり景色を観ながら時々陸に上がったりするような生活へと乗り換えて、よかったと思う。何をしてても食いっぱぐれる時は食いっぱぐれるし。今日のために生きることができている?
最近は何かを目指す過程を、楽しめている気がする。
ビフォアサンセット、全編通して会話によって構成される映画だった。
久々に誰かに再会した時とか初めて会った誰かに対して、はじめ自分の凹凸のないきれいな面を見せる感じがリアルだった。それが徐々に崩れていくさまも。遊覧船で橋の下を通る時「この本は僕にとって建造物みたいなものなんだ。これを読めば君と過ごした時間をいつでも思い出せる。」が良いセリフだと思った。生きていれば忘れたくない、真空保存しておきたい時間というのがたくさんあって、でもそんなことはできないから忘れるしかないのだ。文章を書いたり映像を作ったりしたいと思うのは、忘れたくないからだ。この目で見た景色とその場の感じをいつでも思い出せるようにとっておきたい。

この記事が何度も読み返したいくらいによかった。

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