テレビ朝日新人シナリオ大賞「さすらいのパンツマン」を読んだ

宮崎へと向かう飛行機の中で何の気なしに読み始めたら不覚にも泣いてしまった。病気の父親というキャラクターが出てくる話には弱い。亡くなった父親と重なるので。
ストーリーは主人公の売れない芸人が父親と再会することによって何かが起こるというものである。
私は芸人だったことは一度もないけれど、主人公の気持ちは痛いほどわかる。かつては肩を並べていた奴らがどんどん出世したり成功したりしているのを横目でみている時の焦燥感。やるべきことは分かっているのに、プライドとか飛び込んでしまうことへの恐怖が邪魔して一歩を踏み出せない感じ。家族へのモヤモヤ。気が弱くて自分の芸に固執して頑として変えようとしなかった主人公が徐々に変わっていくさまが爽快でとてもよかった。
父がとにかくかっこいい。これと決めたあとの行動力。もうこの世を去った後に出てくる、人知れず家族を守っていたことがわかる痕跡。
悪役キャラもただの悪役で終わらず、魅力的だった。みんなそれぞれ正義とか義務があって一筋縄ではいかないよねって感じ。要所要所で出てくる小物とかモチーフが印象的でよかった。プリンアラモードたべたい。

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