世界はもうデフォルトで悲しい

枯れ葉を観ながら自分の一人暮らしの部屋のことを思い出していた。
私の部屋は3階建ての一軒家の一階で家族が多い住宅地にある。誰も居ない夜の帰路の雰囲気はどことなく主人公の家の周辺にも似ている。
私の部屋は小さくて、色彩豊かではないけど暖かい。優しい感じがする。
パーフェクトデイズもそうだったけど、ひとりで生きていった未来について想像を誘うような作品をはからずもよく観ている。
穏やかな孤独の上に根を張った生活。それを少しずつ受け入れる準備をしている気がしてならない。
枯れ葉は風に揺れる、今にも消えそうな小さな火のような物語だった。
空はいつも曇っていて寒々しい雰囲気だったけど、決して悲しくはなくて、このままならない世の中でたまたま隣にいる人と手を繋いでささやかに生きていこうというしたたかなメッセージを受け取った。
世界はもうデフォルトで悲しい。
どうしようもなく理不尽なことは絶対に起こる。
そんななかで誰かを好きだと思えたら万々歳だし、誰のことも好きになれなくても自分の生活を守れさえすればもうあとは何もいらない。
暖かくて強い映画だった。

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