プアン/友達と呼ばせて

久々に映画館で映画を観た。
新宿武蔵野館。信じられないくらいに座り心地の良い椅子だった、また行きたい。

さすが、ウォンカーウァイ総監督なので、音がよかった。音楽や、音楽の流れるタイミング、雨や風の音、水の音、氷が砕ける音、ため息、吐息。
そして煌びやかな夜の色。オレンジの光。 
ほんとうに、人生にオチはないんだということ。
辛いことがあったらきっと良いことがある。辛いこと半分、良いこと半分なんて、そんなに都合よくはなくて、脈絡もなく色んなことが次々に起こる。
私たちは人生に翻弄される。
でも、そんな中にも忘れられない時間が、もう、この時間を過ごせたからいいんだ、という時間がいくつかある。過ごした時間は短くとも、大切な人もいる。それらを宝石みたいに大事に仕舞って、時々取り出しては眺める。
A面のラストのシーンが忘れられない。
もうこの世にはいない大事な人の、後ろ姿。
死んでも、思いは残る。カセットテープに録音した声は変わらずに、頭の中にこだまする。

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