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障害児の世界でおかしいと思うこと

突然ですが、「親子通園」って知ってますか?

少し前までは、「母子通園」と言いました。

健常児(この言い方あんまり好きじゃないけど、他の伝わる言い方が思いつかない)が保育園や幼稚園に通うように、障害のある子どもも就学前に通う場所があります。児童発達支援センター、児童発達支援事業所というところです。(もちろん、一般の保育園や幼稚園に通う子もいます。)
数年前までは、「知的障害児通園施設」とか、「肢体不自由児通園施設」とか呼ばれていました。

「親子通園(母子通園)」とは、そのような場所に、子どもだけじゃなくて、親子で一緒に通うということです。参観とかのレベルじゃなくて、毎日朝から3時ごろまで、場合によってはお弁当までもって、親子で通うんです。

一般的には、このご時世に、ありえないですよね。でも、障害児の世界では割と当たり前。

地域差はあるでしょうし、障害の種類や障害の重さによっても違いますが、私の住む県で、肢体不自由児(身体に障害のある子ども)や重症心身障害児(重い身体障害と重い知的障害をあわせ持った子ども)が、それぞれの地域で一番有名な児童発達支援センターに通おうと思ったら、まず1年は「親子通園」を覚悟しなければならない現実があります。

「親子通園」の目的は、
・専門スタッフや先輩お母さんの力を借りて、   自分の子どものことをより深く理解して、子育てに役立てる。
・同じような子どをを持つママ友作りの場となる。
などあって、行くことで得られるものもたくさんあります。

もちろん全否定するつもりはありません。幼稚園を選ぶママもいるように、親子通園を選ぶママもいるでしょう。我が子のために頑張りたい、と自分で選ぶのであれば、それはとっても素晴らしいことだし、親子にとってかけがえのないことだと思います。

でも、絶対親子通園してください、って言うのはやっぱりおかしくないですか?
主体的に決めてではなく、周りに言われて、ただでさえ持たなくてもいい罪悪感に苦しんでいるママに、その方が絶対子どものためになるよ、と半分強制力を持って選択させるのは、やっぱりおかしいと個人的には思います。

新しくできている児童発達支援事業所は、子どもだけで通う場所がほとんどです。でも、規模も小さいし新規参入だしで療育ノウハウは昔の通園施設から移行してる児童発達支援センターにはかないません。
その児童発達支援センターは昔ながらの親子通園を推奨するところが多くて、親子通園絶対主義のベテラン支援者が結構います。そして、親子通園を通過してきて、それを楽しむことができた「強い」先輩ママたちからは、武勇伝のように、私たちは大変だったけど頑張ってよかったからあなたたちも頑張りなさいと言われてしまうのです。

平成ももう終わろうとしているのに、なんて昭和な考え方なんでしょうか。

子どもの支援を真剣に考えて頑張ってるのは親子通園施設も同じ。否定してケンカしたいわけじゃありません。多様な社会になってきているなら、選択肢もあっていいんじゃないかと思うんです。

施設側の事情もあります。親子通園だとスタッフが少なくて運営ができちゃうんです。障害が重ければ重いほど、ほぼマンツーマンの人員配置が必要となり、規模が大きいところだと現実問題として運営は不可能。

東京ではフローレンスさんのようなNPO法人もあり、変わってきているようなので、地方でも少しずつ変わっていくのかな。

ちなみに、私の事業所は重症心身障害児対象で子どもだけで通う場所です。
定員は5人と少ないけど、大きなところに負けない療育を目指してます。
親子通園でもそうじゃなくても、同じように子どもは育つよ、そう伝えられるように頑張っていしたいなー、と思います。

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