第3号被保険者制度について思うこと
第3号被保険者という言葉を聞いて、パッと内容をイメージできるだろうか。
これは、サラリーマン家庭の専業主婦が、健康保険料や厚生年金を支払うことなく、それらを享受できる制度である。
いや、おかしい。
もらうだけというのは仕組みが成り立たないではないか、と当然気づくと思う。
では、それはどこが原資になっているかというと、第2号被保険者、つまり仕事をして社会保険料を納めている人たちの、源泉徴収分が原資となっている。
世間は共働き、共家事、共育児がスタンダードになってきている一方で、このような専業主婦を優遇するような制度があるというダブルスタンダードを社会として作ってしまっている状況だ。
とはいえ、国もこのことに気づいて動き出している。
一定以上の稼ぎのあるパート主婦に社会保険に加入させることで、第3号被保険者の全体のパイを縮小させることで、制度をなだらかに無力化させようとしているのだ。
どうやら、次の制度改正では、第3号被保険を活用できる企業の要件を変更することで、現700万人いる被保険者を、530万人まで減らすということのようだ。
詳しくはこちらを参照。
国は、いきなり撤廃すると反対や軋轢が生まれるから、徐々に無効化していこうとしているということだ。
本当にこの国はコソコソやるのが好きである。
僕個人の意見で言うと、もう完全に廃止でいいのではないかと思う。
この制度自体が、潤沢な働き手の数がいることを前提としているので、これだけ少子高齢化が進んだ今、これを維持しようとすることの方が不自然な状況になっているからだ。
ただ、当事者の現実に目を向けると、これまで免除されてきた保険料の納付をいきなり課せられても当然困るだろう。
そもそも、完全な専業主婦であれば、収入なしで保険料を納めろというのは無理な話だ。
2024年現在、国民年金に入ると、年間20万円強の保険料を納めなければならない。
では、どうするかというと、それは働いている配偶者が専業主婦の分も代わりに納めるというのが筋なのではないかと思う。
微々たるものだが、社会保険料控除で所得税減の効果は得られるし。
専業主婦を働いている人たち皆で支えるというのはどう考えても不自然だ。
同じく子育てをしながら、共働きで頑張っている夫婦との公平性が保たれない。
実は、僕自身も現在妻が一時的に専業主婦であり、第3号被保険者である。
妊娠前は働いていたが、妊娠中の体調悪化を理由にいったん退職した。
今現在は制度としてあるので利用しているが、もし僕自身が妻の国民健康保険料を支払うという制度であったとしても納得である。
というか、むしろ本来はそうあるべきなのではないかと思っている。
日本はことなかれ主義を前提として事を進めるが、国民ももっとドラスティックに制度設計を変えることなどに慣れていく必要があるのではないかと思う。
時代の流れがこれだけ早い中で、国際競争力を保つためにも、こんなまどろっこしいことをやっている場合ではないと思う。
国は向かう方向性、ビジョンを明確に提示して、そのビジョンに対してシンプルな施策を実行すべきだ。
と、理想論を語ってみる。
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