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現代に生かされている僕ら

エモーショナル。
感傷的、言葉では言い表せない感情を指す。

本来であればこのようなことを意味するのだが、言葉を探せばきっとその情景にぴったりなものがあるはずなのに語彙がないため“エモい“で済まされてしまうことが多いような気がする。
私の人生もそのようなものだ。簡単に、そして雑に済まされてしまう。
たった今、私は彼の元恋人になってしまった。
彼との日々はなんと表せば良いだろう。
きっとこの感情もあの時言われた言葉も思い出せなくなってしまうのだろう。
それはそれで良いことなのかもしれない。
ただ、ふと思いがけず急にあの日のことも彼との思い出を思い出す日がきてしまうのかもしれない。
私と彼は全く性格が違った。
社交的で笑顔をこれでもかと振りまく。私は好奇心と好意を履き違えてしまっていたのだろうか。
『やりたいことリストみたいなの作りなよ』
彼は私の人生に変化をもたらす人だと思った。

昔、友人としてとの好きだったと履き違えていたと言われたあの彼を思い出す。
なんだかんだで結局は忘れないこともあるのだ。
私は彼になりたいとすら思った。
惨めな人生はこれで終わりだと。彼と結婚するのだろう。
彼に尽くした。
楽しい人と人生を変えてくれる人は違うということを私は知らなかった。
世間が使う表面的なエモいではなくもっと深くそして冷たい“エモい“だったのかもしれない。

深夜1時
暇な人電話しようというストーリー。
彼は酔った時、とにかく電話をかける人だった。
酔いを覚ますことも、今日あった出来事も普段言えない恥ずかしいことも酔った勢いで話してくれる人だった。
『こないだ話してたライブのチケットが当たったんだ』
酔うと目がとろーんとして口角も上がりっぱなし。
いつも以上に質問されそれなりに直球なものもあった。
彼と初めて電話したのはいつだろうか。
今も電話は慣れない。
きっとこれから慣れることもないのだろう。
ずっと変わることのできなかった人生だ。
変化を恐れているのかそれとも長年染みついってしまったからなのか。
自分でもわからないが、厄介ということはわかる。

『その人で寂しさとか悲しさを埋めるなんてことはしないから』
嘘を愛す女、という映画がある。
私はその映画を観てこんな女性にはならないようにしようと思った。か。


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