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【毎週ショートショートnote】『鋭利なチクワ』

「忍者にとっての必需品ってなんだったか知ってる?」
「えー? 手裏剣とかまきびしかな?」
「違う違う。そんなんじゃないよ。正解はちくわだよ」
「ちくわ? あの食べ物のちくわ?」
「うん、それ以外にちくわってある?」
「だって、ちくわなんてどうやって使ったって言うの?」
「まずね、吹き矢。忍者と言えば吹き矢だからね」
「たしかに、穴は開いてるけど…」
「そして、すいとんの術。水のなかだって潜れる」
「たしかに、息はできるかもしれないけど…」
「そして、巻物」
「たしかに、巻物の形に似てるけど……どうやって使うの?」
「秘伝の巻物を盗んで逃げるとき、掴まりそうになっても、ちくわを投げれば敵の目を欺くことができる」
「できるかなぁ……」
「そして、非常食にもなる」
「そりゃあ食べられるけど……ちくわって日持ちしなさそうだし……」
「っていう感じでね、ちくわって忍者の必需品だったんだよ」

 と自信満々に言う悠くん。
私はそんな尖ったちくわの使い方を考えつく悠くんが大好きだ。(421字)


たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
*ちくわに入れるモノ(チーズ、きゅうりなど)によって様々な異能力(身体の好きな部分を伸ばすことができる能力、身体の水分量を95%にし水を操れる能力)を発揮することができる主人公の物語にしようとしましたが、超大作になる予感しかないので断念しました。


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